文芸部は小説を上手に書くことが一番重要だけど、違うとしたら何が重要なの？それなら勝負だ！

第1話 : 冬休み [1]

坂道にあらゆる形の家が集まっている祐希の村にも冬が訪れる。 煙突から煙がそよそよと立ち上っている。 それぞれ異なる夢と目標を持つ人々が真っ白な雪霧の間に昇る太陽と共に新しい一日を始めている。 祐希もやはり忙しく荷物をまとめながら未来に向かって進む準備をしている。 まだ始業は遠いが、今日は少し特別な友達と重要な約束がある。 腕時計をちらりと見る。 今出発すれば間に合いそうだ。 急ぐ必要はないが、ぐずぐずしていて学校に行くバスに乗り遅れそうなので足を早める。

簡単な荷物をかばんに入れて、片手に小さなペンとメモ用紙を持つ。

ドアを開けると冷たい空気が家の中に押し寄せてきて体を巻く。 湯気がそよそよと出て体がぶる震える。 冷たい空気で焼ける一匹の魚のように自然に縮まる。 両手が自然にポケットに入る。寒さに屈服するのが不満でポケットから手を引いて体を伸ばす。 手がしみるが、こうでも夢のための時間があるということに感謝するだけだ。 肌寒い朝の天気に体は凍りつくが、情熱まで冷やすことはできない。 寒い天気のため動かない手でペンを取り出し、ぶるぶると一文字ずつ書いていく。 この瞬間だけでも他のことは全て忘れて、ただ自分の作品のために情熱を燃やして手を溶かそうとする。

学校は歩いて行くには少し離れた低い坂道にある。 貴小本能に導かれる一匹の子犬のようにバス停へ行く。 凍った道に前を見ないまま歩くのは危険なことだと知っているが、一年も通った道だから大丈夫だろうと思う。 雪が降って白く覆われているからといって、一夜にして違って見えるはずがない。 そんな祐希に何文字か書くのは十分興味深いネタだ。 不便極まりなく、作文にきちんと集中することもできないが、厳然と欲求充足のための不便であるため、彼自らそのような残念な気持ちはしばらく折っておくことにする。 手の甲に落ちる雪片が温もりを奪う。 ゆっくり凍りついて字さえ書けないほどになる頃に学校へ向かうバスが到着する。

目的地へ行くためにバスに乗り込み、閑散とした隅の席に座って別のことを考える。 希望する目的地に自ら連れて行ってくれるバスが良い移動手段ということは明らかだが、いざ適当に向かうところがない時、むしろより良い手段になってくれるかもしれない。 毎回同じ道だけを行き来し、いつも同じ終着地に至るバスなので、明確な目的地がある人だけが身を乗せるという先入観がその役割と価値をまともに示していないのかもしれない。 バスはむしろ明確な目的地があるので、自分の目的地がない人を導いてくれるかもしれないという気になる。 一見荒唐無稽極まりない話だが、経験者ならきっと理解できるだろう。 同じ場所に飽きるほど滞在しているのに、去るところさえない時、そのように動く何かに身を任せれば気分転換になる。 どこに向かうかさえ分からないからかもしれない。 漠然とした好奇心が興味をそそるのかもしれない。 あらゆる夢を乗せた朝のバスの中の暖かい空気が手をゆっくりと溶かしてくれる。 バスは冷たい雪に手が凍ってしまった彼が再び字を書けるようにしてくれるが、もしかしたらそのような切実な夢が発散する熱気こそバスが動き続ける原動力だ。 そんなぬくもりがなければ、バスの中まで凍ってしまうかもしれない。 このように夢のために手を動かす勇気を得るところまで失ってしまうかも知れないという気がして鳥肌が立つ。

バスは彼の目的地に到着し、彼を停留所に降ろし、また別の夢と人を乗せたまま再び出発信号として煙を噴き出す。 バスは熱気を噴き出しながら、ぎっしりと積もった白い雪の上に黒い煤煙と共にタイヤの跡を残す。 タイヤの跡こそ、バスが循環する旅程を表す一種の痕跡だ。

バスで力を得た彼は、再びペンと手帳を握る。

伸びを一度大きくして目的地に向かって旅立つ。

しばらく雪道を歩くと学校の前に着く。

坂道を下から一度見上げる。

大きく息を吸うと息が吹き出る。

冬になると白で、春になるとピンクで、夏になると緑で、秋になると茶色で、冬にまた白で。 果てしない循環が続いている。

そのように自分を周期的に変貌させるこの道は、もしかしたら登校途中に3年間身を任せ、この学校の繰り返される過程に心を任せなければならない生徒たちを代弁すると言える。

まもなく桜が満開する坂道で、自分が学校に初めて来た日を思い出し、気を引き締める。 感慨深くならざるを得ない。 文芸部に新入生が入ることを考えただけでも緊張して自然と胸がどきどきする。 すでに新入生の表情が頭の中に鮮明に描かれるようだ。 まだ始まってはいないが、徐々に咲く桜とともに再び騒がしくなると信じて疑わない。 当面はつぼみに過ぎないが、すぐそうなる予定だ。

今までそうだったように咲いて散る桜のようにうるさくなり静かになることを繰り返すだろう。

きっとそうだろう。

冷たい風だけが吹く寂しい坂道だが、始業すればあらゆる部活動広報で騒がしいだろうから、今静かな瞬間を冬の風情を楽しむ機会と考えることにする。 雪降る冬の朝の落ち着いた雰囲気もそれなりに魅力がある。

学校に着くや否やスニーカーを下駄箱に入れてスリッパに履き替える。 まっすぐ部活動室に向かう。 静かな廊下を歩きながら手帳に何かを書き下ろす。 誰もいない廊下は彼がこれをするのに最適な環境だ。 その音だけが狭い廊下で鳴り響くだけだ。 部屋の明かりをつけると、やはり誰もいない部屋が歓迎してくれる。 ひんやりとした空気だけが漂う部屋だ。 暖房をつけることにする。 これまで冷たい風に吹かれた彼をさらに震わせるほど虚しいところだ。 がらんとしている部屋はまるで誰かが来てくれることを望んでいたような気もする。 彼はぐずぐず入ってきてため息をつき、自分がいつも座っていた席に行って他の部員を待つことにする。 腕時計をちらっと見ると、少し早く到着したことに気づく。 再び手帳を取り出そうとしたが、いざ作文にまともに没頭するのに時間が足りないようでポケットに詰め込む。 揺れる文字で適当に何かを書いても、他の部員が来て興を壊すから、むしろしばらく差し置いておくことにする。 仕方ない決定だが、訳もなく流れが途切れて気分を害するよりはましだ。

しばらくして誰かが部屋に入ってくる。 彼も人の気配を感じて首をかしげる。 文芸部員で友人の桃海だ。

祐希はぎこちなくてどうしても口が開かないけど、それでも勇気を出したほうがいいと思う。

「今日はかなり早く来たね?」祐希がぎこちない気運を解消しようと差し出す挨拶がむしろ文芸部室の中に流れるぎこちなさだけをより一層浮き彫りにする。

「その気まずい初挨拶は何？」 桃香は彼がそのような挨拶をするのに戸惑うだけだ。 まるで機械が吐き出したような硬い挨拶のため、さらに冷たくなる雰囲気に手足が縮まる。

「どう?嬉しくない?」努めて恥ずかしさを隠し、まるで何ともないかのように屈せずにもう一度尋ねる。 表現をはっきりしていないからだと思う。

「まあ, まあ。」彼女の答えは依然として冷笑的だ。 冷たい外の天気に心まで同化したようだ。

「あ、そうなの？」期待していた答えではないことが残念でさらに掘り下げる。

「まあ、好きなように考えて。 私は気にしない。」百花はこのような挨拶に慣れていないように眉をひそめ、平然とした口調を固守する。 すぐそばにかばんを置いてどっかりと座り込む。 敢えて不快に思う必要がなく、ため息ばかりつきながら心を落ち着かせる。 微妙な感情が彼女の意図しない疲れた表情にそのまま残っている。 あれこれと頭の中が複雑だ。 今この場で良い解決策が得られることを願うだけだ。 実は寒い冬の朝に学校まで来た本当の理由でもある。 形式的にしなければならない詩らしくない挨拶などはどうでもいい。

「もうすぐ新学期が始まるよ。 冬休みも終わりだね。」祐希が静寂に耐えられなくて先に言い出す。 短い一言が冷たい静けさを一瞬にして破る。

「そうだね。 寒ささえ経てばまた桜が咲くだろう。」 彼女は複雑な感情を表したくないので，淡々と答える。

「いいんじゃない？」と彼は首をかしげて尋ねる。 とめどなく流れる時間をあえて止めることはできず、どうなるか誰も分からないので、新しく近づく未来に期待をかけてみる価値があるかもしれない。 漠然とした自信が愚かに見えない理由かもしれない。

「どうせ同じだろう。 毎回そうするように無意味に騒がしくなるだろうし、散る桜のようにすぐ静かになるのは明らかだ。」彼女はやはり冷笑的な態度で一貫している。

「とにかく新入生をもらわないといけないんじゃない？ もう3年生が卒業したから席を埋める新入が来なければならないんじゃない？ 文芸部の歴史が続くためには結局誰かが後を継ぐ人がいなければならないじゃないか？」もう2年生になって後輩に会うことを考えただけでも胸がどきどきする。 やはり大きな夢を持った新入生がたくさん来ることを願うだけだ。 自分も最初にそのような漠然とした希望を抱いたまま来たので、心が通じる人に会いたくてそうしているのかもしれない。

「私も知っている。 それで今日ここに集まったんだ。」 彼女はずるずる必要がないと思い、まず本論を切り出そうとしている。 ぐずぐずしていると頭の中が複雑になるだけだ。 時間の無駄に違いない。

「まさにそれだ！ 私たち文芸部の未来のための対話を交わすためだと!」3年生が卒業して去った状況で文芸部の未来を心配するのはおそらく極めて当然だ。 これといって大げさな表現を使いながら誇張するものではない。 文字通り未来そのものということだ。

「そう、私たちもいつか卒業生になるよ。 私たちが学校を離れる時、文芸部を率いる中心になる人が必要だろう。」 変わるはずがない事実をはっきり言う彼女なので、口調は断定的だ。

「その通りだ。」彼もやはりその事実をよく知っているので、なおさらそう感じるかもしれない。 短い会話で彼女が抱いている強い責任感を感じることができる。

彼はそれを聞いて反論できない事実だと思うが、余計な叱咤をする。 黙っているのは、彼自らその事実を納得してしまう格好に過ぎない。 自尊心を傷つけてどうしてもそうしたくない。

「もういない2人が残念じゃない？」百花の返事に微妙に隠された意味を捉えて問い返す。 かっとなってもかえって巻き込まれるばかりなので、感情を抑えて彼女の本音を探ってみようと思う。

「そんな問題ではない。」努めて肯定的に答えようとしたことが逆効果になる。 意図せず雰囲気がしらける。 やはり別れが残念だが、目の前にやるべきことが積もっているのに過去に執着することはできない。

「もう心を捨てて新しい人を受け入れなければならないということだよね？」彼もやはり別に彼女が悪い意味で言った言葉ではないということはすでに知っている。

「そう、そういうことだよ。 ただ、これが私たちの文芸部のために特に良いことはないということだよ。」 彼女はそんなことを言ってからは恥ずかしくて言い繕う。

「過去に対する未練を捨てなければならないということは知っている。」彼は彼女の顔が赤くなるのを両目で確認する。 もうこれについては口を出さないほうがいいと思う。 それを言おうと勇気を出した彼女をからかうことしかできない。

この争いで先に白旗をあげる人は祐希なのに、いざ敗北したような気がする人は百花イだ。 彼女はさらに悔しさが胸から湧き上がる。