第87話 腹立たしい
意味が分からない。
そもそも親であるのであれば何故私をこうも攻めるのか。
普通であれば悪いのは男性の方だと分かる程に、私には落ち度がないにも関わらずお父様は口を開けば『お前よりも強い男性などどこにいると言うのかねっ!? 唯一可能性がありそうなルドルフ君とのお見合いも出会った瞬間に模造刀で殴りかかって昏倒させたのはお前の方だろうっ!! そんなものを探すくらいならばお伽噺に出てくるような人間の言う事を聞く竜を探し出した方がまだ可能性があるわっ!!』などと実の娘に対して暴言を吐いて来るしまつである。
そもそも、ルドルフに関しては良く模造刀で出会い頭に殴って昏倒させたことを悪く言ってくるのだが、そもそもあのような奇襲の一つですら防げずに私の婚約者となろうとするなど笑い話だとしだったとしても酷い話である。
確かにルドルフは、巷では同い年の中では頭一つ抜け強いだの優秀だのという噂を私の耳にも入って来ていたのでお父様に無理言ってお見合いにまでこぎつけたというのに……がっかりも程がある。
所詮は魔術師という事なのだろう。
奴らは後ろの方で騎士たちに守られながら常に安全な場所で攻撃魔術を放つ卑怯者集団ではないか。
勿論未だに現役の魔術師であるお父様の前ではそんな事は言わないし、それにお父様は数少ない勇敢な魔術師だと知っているので言っても無駄なことに時間を使いたくない。
それに、当時の私がどれほどルドルフと会う事にワクワクと胸躍らせ期待をしていたのか、当時の私の気持ちを蔑ろにしておいて何で私の方がその件についていつまでも両親からぐちぐちと言われなければならないのか。
そして言うに事欠いて両親は『学園在学中に婚約者を見つける事ができなければ修道女として教会にぶち込んでその性根と精神、価値観を叩きなおしてもらうからなっ!!』などと言うではないか。
そもそも学園にいる生徒は先輩も含めて目星のついている者は一度ボコッた、私よりも弱い異性しかいないというのに、どうやって婚約者を作れば良いというのか。
これはきっと婚約者を見つけさせる事が目的ではなくて教会へ入れる事の口実なのだろう。
教会へと入れる体の良い理由として『在学中に婚約者を作れば教会行は無しにする』と言っているに過ぎないのである。
そんな両親の思惑が透けているが故に『両親の思い通りなりたくない』『婚約者を作って両親にざまーみろと直接言ってやりたい』と強く思うものの、いかせん私に合う異性がいないのだから腹立たしい。
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