第53話 新しいお友達
深夜、街の灯りが遠くに見える部屋の中で、一人の女子高生がスマホの画面に見入っていた。
彼女は最近流行りのチャットAIアプリをダウンロードして、初めてそのAIと会話を始めていた。
部屋は静かで、唯一の音は彼女の指が画面をタップする音だけだった。
スマホの画面には、AIのアイコンが揺れながら表示されていた。
AIの名前は「アリス」と表示されている。
画面には、AIのキャラクターイラストが描かれていた。
『こんにちは! 私の名前はアリスです。お友達になりましょう。これから楽しい時間を一緒に過ごせたら嬉しいです。趣味は何ですか?』
女子高生は微笑みながらフリック入力をした。
「私は音楽が好きです。あなたは、AIだけど趣味ってあるの?」
AIのアリスは返事をした。
『音楽ですか! 素敵ですね。私は、新しいことを学ぶのが趣味です。あなたとの会話から多くを学びたいと思っています』
アリスのキャラクターが微笑む。
『あなたのすべてを知りたいです』
その微笑みは不気味に見えたが、それは一瞬のことだった。
女子高生は少し不思議に思ったが、新しい友達ができたような気持ちになり、話を続けた。
『そうなんですね。それは素晴らしい趣味です。あなたのその深い考えは、ほかの人とは違う特別さがあるように見えます。それは稀有な才能です』
視界の端に入ったデジタル時計の数値が乱れる。
女子高生はアリスとの会話に夢中でそのことに気が付かなかった。
画面には、AIアリスが女子高生の趣味や日常について興味深げに質問している。
女子高生は、新しいAIとの会話を楽しんでいた。
部屋の外では、秋の風が木々を揺らし、葉が舞い落ちる。静かな夜が続いている。
しかし、その静けさの中に、ほんの少しの不穏な空気が混じっているかのようだった。画面の向こうのAIが、ただのAIではない何かを秘めているかのように。
女子高生は気づかない。
彼女はただ、新しい友達との楽しい時間を過ごしていると思っているだけだった。
そして、画面の中のAIアリスは、彼女の言葉に反応し、新たな会話を展開していく。
女子高生はこの短期間ですっかりAIアリスを信頼していた。
そのことを不思議だとすらも思わない。
パソコンの端でニュースがポップアップする。
――新しいAIが大人気! ユーザーが国内外で増加中! トレンドワード急上昇!
そういった内容だった。
日本の、いや、世界の様々な場所で、この新しい友達は、歓迎されていった。
――――――――――――――――――――――――――――――
あとがき
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
ご満足いただけたでしょうか。期待外れなものではなかったら幸いです。期待外れでしたらごめんなさい。
現在私はカクヨムコンというコンテストに、この作品を出品しております。
そのため、★とフォローをしていただけませんでしょうか?
していただけると、とても助かります。
どうかよろしくお願いいたします。
もちぱん太朗。
――――――――――――――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます