258 日記
高峰はその日、手帳に日記を書いていた。
高峰『2024年5月16日。昨日、岸澤さんにこの右目と関係性について話した。彼女は憤慨していた。なぜ、私は覚えていないのかと。
きっとそれは、最初の記憶、僕が右目を持つきっかけが関係しているのだとお思う。それについて思い出そうとすると、頭が割られるような痛みがある。きっと本能的に拒否しているのだろう。それを思い出してしまえば何かを忘れていた事に絶望してしまうから……。僕は、それを思い出すまでの胆力を持っていない。だから、僕は行動に移せない。記憶を持っているということは、その記憶に囚われるということになる。たとえば、何回もループしているとして、その輪環から離れるには、記憶を持つ以上の行動をしなければならない。ただ、それはほぼ不可能だ。記憶がないからこそ行動できることもある。
だから、永遠の右目を持つことになった僕には、できないという縛りが無尽蔵に膨れ上がった。だから、ある意味岸澤さんの方が羨ましい』
残り257
〜続く〜
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