第5話
編集部の壁に
トマホークで
貼り付けられた、
小説原稿の束があった。
仕事を教えてくれた先輩の
デスクの横には
常に
斧とトマホークが
立て掛けてあった。
「妙な気配のするヤツは
これで消える」
確かに
その小説を読むと
妙な気配を感じたのだ。
喉の奥に
なにか絡んだような。
ザラザラとした感触が
舌の上を
通るような。
苦い顔をしていただろうか。
「それ よこせ」
差し出された先輩の手に
読んでいた小説原稿を渡した。
「コーヒーでも買ってこい」
1000円札を渡された。
コーヒーを買うには多すぎるが、
先輩は
おつかいを頼む時には
必ず
1000円札を渡してきた。
先輩には
その小説原稿に
なにか見えていたんだろうか。
壁のオブジェを終えて
手元に戻った小説原稿は
普通の小説原稿になっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます