第48話 貴族の養子も楽じゃない
『ジン、そろそろ話を戻せ!』
やべ、ちょっと逸れたか。
「そっか。……でも、どうして3人も留学を……?」
「全員、平民出身の特待生らしい。しかしあまりにも優秀なので吾輩達、ユィアン侯爵家の分家であるハリカルナッシン男爵家の養子に出来ないかとトロイゼン公爵家から直々の打診があったのだよ」
「ああ、それでね!」
優秀な平民を貴族の養子として迎え、いずれ一族の縁者として迎え入れたい時に、ハリカルナッシン男爵家はよく名前が出てくる家だ。
貴族ってのは特権的に魔法が使えるから、多少の高慢ちきな所がどうしてもあるのだ。
特に伯爵家以上になると、その意識は誰にでもある。
『えー……優秀でも平民出身なんだろ……?魔法も使えないんだろ?』って心のどこかで思っている訳だ。
養子に迎えても、結構な差別をして酷い待遇をする事が昔から多々あったらしい。
だけど生粋のマッドサイエンティスト一族であるユィアン侯爵家や、セウェルス一族郎党は違う。
マッドサイエンティスト故にその意識は比較的に薄いから、わりとあっさり一族の養子として迎え入れてくれる。
かつ、養子になった者も(学問命なら)冷遇は絶対にしないと言う話で有名なのだった。
「しかし!本当に学問の徒として相応しいかを見極める必要があるのでね!」
それでこのリュケイオン学園に留学させて、その成績次第で養子にするかどうか決めるつもりなのか。
俺は納得した。「じゃあヴァロと話が合いそうだね」
レクスも頷いて、「だな。……学年首位の争いが、今後は恐ろしい事になりそうだぜ」
今まではヴァロがぶっちぎりで首位を独占していたんだけれど、大激戦になりそうだ。
「フハハハハハハハハァ!よくぞ言ってくれたァ!吾輩も、とても楽しみなのである!」
……って事はさ、ヴァロみたいなマッドサイエンティストが増えるのかな?
そう思うと、ちょっとだけ複雑な気分になった。
ヴァロは超良いヤツなんだけど、中々プライドが高いし色々とぶっ飛んでいる事が多いんだ。
コンモドゥスが熱っぽく言うには、『ヴァロ様はお若いのに学者のお手本です!』だけどな……。
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