第7話 作中屈指の有能にしてナンバー2の人気を誇ったキャラクター

 マグヌスに代筆して貰った手紙の送り先だが、この帝国の皇太子フラヴィウス・マクシムス・シュヴェルティアヌスの所である。


『いつもフラフラしているからフラヴィウスと言う名なのだ』『婚約者も定めず政務も行わずフラついてばかりだ』と貴族や平民からは悪し様に言われているが、俺ことカインの迫害が本格化する物語中盤からは作中指折りの有能キャラとして変貌する。


黒幕のカインの正体に気付きつつも『愛しいデボラの遺児だから』と一度ならず、殺さずに無力化させるところまで追い詰めるのだ。その後もしつこいカインがぶっ飛んだ非人道的な手段を取って主人公ディーンごと帝国を滅ぼそうとするのをことごとく食い止める。


とうとう泣く泣くカインを処分しなければならなくなってから、ついにカインの前に現れ、デボラを愛していたこと、愛していたデボラの遺児であるカインを処断しなければならない悲痛な心境をぶちまける。


その時にカインが魔剣『ドゥームブリンガー』と契約さえしていなければ……そのままカインは処刑されて物語はハッピーエンドで終わっていただろう。


 このフラヴィウスはデボラを愛している。


元々、同じ皇族のデボラとはかねてからの知り合いだったらしい。でもデボラを(浮気心から)見初めたレーフ公爵と、愛しいデボラが恋仲(レーフ公爵が強引に迫ったんだと)になり、最後には絶望しながら身を引いたのだ。


ちょっとだけややこしいのだが、デボラは皇族でも今の皇帝の実娘である。フラヴィウスも皇族で、かつ皇太子なのだが、この帝国は『公爵家以上の貴族の中から皇族と最も血縁が薄く、かつ最も有能な若者』を皇帝が即位するのと同時に養子に迎えて皇太子に定めることになっているから、二人は赤の他人同士なのだ。




フラヴィウスはディーンに続いて作中で人気があった男だった。弟が言うには、イケメンで有能で、とにかくデボラに一途なところが泣けるし推せる、とかだったかな。




 俺が考えていることは単純明快である。


このフラヴィウス皇太子殿下にデボラの苦しみを何とかして貰う。


どうなるかは分からないが、あれだけ有能な男が何もかも捧げて愛したデボラの不遇を知って、指を加えて放置しておく訳がない。




 2歳児の俺じゃ出来ることもほとんど無いが、フラヴィウスは違う。


何せ皇太子殿下なのだ。権力も権限も桁違いに所持している。


レーフ公爵に何らかの罰はあるかも知れないが、もし巻き添えを受けたとしても、デボラの息子で2歳児の俺は殺されることまでは無いだろうから、これで向こうの様子見と行こう。

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