時報がなりました。お仕事の時間です
うるは
プロローグ
ジジ……ザ、ザザ……
チャンネルを合わせただけの古びたラジオが何らかの電波を拾った。
“松戸市が、17時をお知らせします”
あぁ、時報が鳴った。
重ったるい腰を持ち上げて、スーツへと腕を通す。
“本日の天気は
続く天気予報を聞き流しながら、ネクタイを締めた。
よし、今日もいい感じだ。
気合を入れるためにワックス毛先を固めて、少し急ぎながら部屋を飛び出す。
夕日が僕をスポットライトのように照らして、まるでステージのあがったヒーローにでもなった気分だった。
現場に到着すると、先輩が準備運動を始めている。
「遅ぇ」
「いやー、すいません、髪がなかなかキマらなくてー」
「ったく、来るぞ」
「え?! 丁なのに今日は来るタイプなんすか!?」
「そうだ、準備しろ」
「はーい」
ウエストポーチから愛用の拳銃と取り出す。
夕闇が気味の悪い色に染まりだし、薄暗い靄が立ちこみ始めたころ、先輩は飛び出して行った。
これは、人知れず戦う政府職員のちょっと不思議な物語である。
“それでは行ってらっしゃいませ”
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