第48話 義妹たちと喫茶店へ

 そろそろ帰ろう。

 校長室を退出して事務室へ戻った。

 すると既に詩乃と幸来が待ってくれていた。


「帰ろう。お兄ちゃん」

「お兄さんっ」


 無事な姿が見れて、なんだかホッとした。


「行くか」


 水口さんに挨拶を済ませ、俺たちは学校の外へ。

 すでに多くの生徒が下校している。


 さすがに詩乃と幸来を連れて歩いていると目立つ。周囲からの視線を感じる。


 見られているなぁ……。

 なんか女子からも。


 む……?


 なんか見覚えのあるような女生徒がこちらを見ている。


 あれは確か……。


 ああ、そうだ風吹さんだ。



「詩乃ちゃんに幸来ちゃーん」



 駆け寄ってくる風吹さん。詩乃と幸来は楽しそうに会話を弾ませていた。へえ、ここまで仲良くなっているとはな。


 いい友達が出来たな。

 などと思っていると。


「うーん、いいけど……」


 詩乃が俺の方に視線を送っていた。


「どうした?」

「風吹ちゃんがみんなでどこか行かないかって」

「なるほどね。……俺も?」

「うん。お兄ちゃんも一緒」


 そりゃ嬉しいな。

 俺も同行させてもらえるとは。


「おにーさん。さあ、行きましょ!」


 風吹さんもノリノリだ。

 断る理由もない。

 詩乃と幸来と遊びに行こうとも思っていたし、加えて風吹さんも来てくれるなら嬉しいことこの上ない。

 風吹さんがどんな人かも知りたいし、丁度いい。



「分かった。みんなでどこかへ行こう」

「決まりですね!」



 さっぱりした表情で笑う風吹さん。なんだか真っ直ぐな感じが好印象だ。


 さっそく外へ。


 タクシーでは行けないので徒歩で街中へ向かうことに。


 さて、どこへ行こうか。

 いや……ここは俺が決めるのではなく、流れるままに。



「風吹さん、行きたい場所があるのかい?」

「そうなんですよ、おにーさん。ある喫茶店へどうしても連れて行きたいと思っていて」

「ある喫茶店?」

「はい。詩乃ちゃんと幸来ちゃんを招待したくて、ずっとその話をしていたんです」


 ほ~、風吹さんのおススメの喫茶店というわけか。それは気になるな。

 しかも、歩いて行ける距離だという。

 近いんだな。


 しばらく歩くと、その喫茶店が見えてきた。


 あれか。


 名前は『星河ほしかわ珈琲コーヒー店』という。

 ほー、なんだかレトロな雰囲気。


「あ~、ここなんだ」


 幸来は知っているようだった。


「来たことあるのか、幸来」

「はい。少し前に」


 幸来はすでに利用者だったか。そんな縁があったとはね。

 などと思っていると風吹さんが驚いていた。


「え、幸来ちゃんそれ本当?」

「うん。何度か利用したよ」

「わー! それは嬉しいな」

「え? なんで?」


「だって、この喫茶店はね、私の家だから」



「「「え!?」」」



 俺も詩乃も、そして幸来も驚愕した。



 ま、まさかこの星河珈琲店って……風吹さんの実家なのかよ!


 そうか、だから『招待』したいと言っていたんだ。


 こんなことがあるものだなぁ。

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