ループ七回目の魔王はバズりたくない～パーティを追放された底辺配信者、うっかりSSS級モンスターを殴り飛ばしてしまうが、もう遅い～

第30話リーシェ、国から投げ銭をもらう

「あの、キリカ？　念の為聞きますわ。性別はどっちですの？」

「え？　えっと。何を言ってんのかな？　リーシェちゃん？」

「そうですよ。リーシェ様、どこからどう見てキリカさんの性別って」

「そうですよ。そんなの聞くまでもなく・・・」

いや、まあ確かに見た目だと確かにそうですわ。私が言いたいのはそこではなくて──。キリカっておそらく勇者になる前は西の剣豪と言われた、あのキリカではないかと思うのですの。確か性別は・・・確もが驚くと聞いたことがありますわ。

「いやですから、皆さん何を言っているんですか？　僕は男ですよ。見ればわかるでしょう？」

「・・・はい？　あの、もう一度言ってくれないかな？　俺、耳垢が詰まってるかも知れねぇ」

「いやだから、僕は男ですよ。どこからどう見てもそうでしょ？」

「えっと・・・つまりそれって女装趣味ですか？」

エリカさんが女装趣味の男の娘って言う推理をしたようですが違いますわ。

「キリカって自分の格好をどう思ってるのですの？」

「ど、どうって、男の僕によく似合ってる格好かなって」

ややこしいことに頬を赤らめて恥ずかしそうに乙女のような仕草で言うキリカ。

「そのスカートとかひらひらの何処に男たる点があるんだ！　馬鹿野郎！」

「そうですよ。その格好はどこからどう見ても女の子でしょ！」

アキラさんはキレ、エリカさんも信じられないという感じですわね。

「あの、私、聞いたことがるのですわ。西の剣豪、かつてのキリカさんなんですが、自分が美少女って言う自覚がないのですわ」

「嘘だろ？　こんなに可愛いのに？　て、いうかエリカちゃん負けてない？　ッ！　ふぎゃぁ！」

アキラさんは余計なことを言いますの。

エリカさんに良いパンチをもらったようですわ。

ややこしいのですが、キリカは自分が外見、仕草、発言、その全てが女の子なのに、その自覚が皆無。

ちなみにと聞いて見た。

「キリカの理想の異性は誰なのですの？」

「そ！　そんなこと本人の前では言えないよ！　リーシェちゃん酷いよ！」

恥じらいながら、恋する乙女のような感じで、私に好意があることをぶちまけましたわ。この完璧な男の娘は。

今日から家を出て行ってもらいましょう。

私の貞操が危ないような気がしますわ。

“アキラすまん“

“秒でフラれたな“

“気にすんな“

“それがアキラらしい“

「お前等俺が振られたこと前提で話してんじゃねぇよ！？ 俺にだってまだ可能性あるから！？」

“もう男の娘でもよくなった？“

“悲報、アキラ目覚める“

「なってねぇよ！！ 男の娘には興味ねぇ！！　ただちょっと気になるだけだ！」

“フラれ記録更新！ ”

“アキラはもう帰ったら？“

チャット欄も荒れるが何故か、視聴者さん達がアキラにエールを送って来ますわ。

“大丈夫だ！今がダメでも、これから先はわからないからな！”

“そうだぞアキラ！これからだ！”

“大丈夫だって！むしろ女の子じゃない点がw“

“気にするなって！！”

その後もアキラさんはしばらくの間、皆に励まされ続けられ・・・でもやはり疑問が。

“ワイには信じられん“

“そや確かめい“

“はよ“

「てっ！　どうやって男か女を確認するんだよ！」

「それは目視するしかないのではないですの？」

「目視って・・・男か女を？」

「ええ、男か女かをですの！」

「・・・・・」

“うわ～マジか・・・“

「仕方ありませんわ。私が見て差し上げますわ」

「は？」

皆さんは開いた口が閉まらないとはこのことなのかと思うくらい、口を大きく開ける。

“何を言っているんだ？リーシェちゃん？“

“愚息を見るだと？“

“そんなことができるはずが・・・“

“ハッ“

“そうか、リーシェちゃんが見るのか！“

“そうゆうこと“

“おかずになるw“

「ここはリーシェちゃんに確認してもらうしかないですね」

「ああ、男の俺だと万が一自分を男だと信じ込んでいる美少女の時・・・ああ、本当は俺が確認してぇ」

“アキラ心の声ダダ漏れ“

“こいつはあかん“

「お前らうるせぇ！」

「それよりキリカ。ちょっとそこの隅でいいですの？」

「う、うん。リーシェさんの頼みならもちろん」

・・・

・・・

・・・

「こほん。結論から申し上げますわ。まずスカートをめくった所、ボクサーブリーフを履いてましたわ・・・花柄のを・・・ひまわりさんが立体的でしたわ」

“他には？“

“上は？“

「上も念の為・・・暑いでしょう？　と、言ったら、頬を赤らめて『そうですね』と言って、脱いでくれました」

“で？“

“はよ“

「Aカップの女の子と言われても疑いの余地がありませんの。そこらの女の子だとウエストとかスタイル勝てませんの」

“なんでリーシェちゃんは涙を？“

“察しろw“

“男の娘に負けたリーシェちゃんw“

「ええっと、えっと・・・・・・。あっ、そ、そうだ！ リーシェちゃんはウエストいくつなの！？」

“おいw“

“エリカちゃんw“

”話変えやがったww“

“墓穴掘ったねw“

“リーシェちゃんになんてことを聞くんだww”

「私は56ですの！　それに私はちゃんと女ですの！」

“・・・リーシェちゃんw“

“必死過ぎて可哀想w“

“それで勝てない・・・だと？“

“エリカちゃん男だったらセクハラで警察へ通報案件w“

ダンジョンでほのぼのとした会話が続いている頃、地上では重要な事件が発生していた。

☆☆☆

「幕僚長！　米国より至急伝です！」

「なんですか一体？　今、リーシェちゃんたちがいいと・・・あわわ！？」

「異世界の魔王城に前回を上回る魔物の魔素を感知、そして消失しました！」

「なっ！　なんですって！」

リーシェ達のほのぼの？　としていた配信を眺めて癒されていた幕僚長六月一日響子は突然、目を逸らしたい現実に直面する。

「幕僚長！　大変です！」

「今度は何ですか？」

「代々木公園にドラゴンを含む危険度Aクラス以上の魔物が現れました！」

「なっ！　なんてことなの？」

愕然とする幕僚長。一瞬硬直するが、その優秀な頭脳は高速で回転し、唯一の解決策に辿りつく。

「今年の国の予備予算・・・全部リーシェちゃん達に投げるからね！」

「はあ？」

「国家予算を投げ銭に？」

「い、いや。それは・・・」

「ではどうすると？」

誰も幕僚長に意見できなかった。