花言葉【1】

 人間観察をする女性が言葉を続けた。


「えーと。あー王都グラニカって知ってる?」


「もちろんだ...」


 答えながら王都グラニカという国について思い返す。


 今は紛争中であり、銃などが禁止されていない地域である。そんな危険な国だと調べて知った。

 だから護身用の為にを連れてきたんだ。


「あー。そーなの。紛争中、でしょ。あんなトコ、誰も...行かない」


 そして、言葉を切り、少し悩んでから声を落として言う。


「しかも...」


「「国の為に死ぬ」」


 一呼吸置いて別の人物が続けた。


「でしたよね」


 いつの間にか傘をさした人が近づき、声を重ねていた。


 男性の声。だが年齢は分からない。


 これは何かしらの訓練を積んだ、とも言い換えられる。この人はまずい。


「こんにちは。お二方。この花はどうかな」


 そう言って懐から花を取った。


 花自体が垂れ下がり、3枚の白い花びらがその花を形作っている。


「あー...!これはスノードロップ...『あなたの死を望む』という花言葉。...あなた何者?」


 女性の顔つきがほんわかとしたさっきの顔とうって変わり、言葉が強く、変化した。


「...お別れだ、よ」


 そう告げ、傘を畳む。カチン、と音を立てると、紐を止めていないのにも関わらず小さく、なっていた。


 はっ?と疑問の言葉を紡ぎかけた瞬間だった。


『『パリン』』


 同時に音が聞こえ窓ガラスが割れた。


 映画のようなシーン。日常では聞こえない音。


 そして。


『『ドン』』


 と音を立てて止まった。


 砂煙を少し舞った場所。音が止んだ場所にはすこし、ほんの少しだけ、窪みが出来ていた。


「まさかスナイパーライフルか...?」


 次の瞬間、叫び声が聞こえたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る