遠吠えする負け犬

人も、草木も、猫さえ眠る深い夜


負け犬のコンサートが始まる


嫉妬と悲哀と憤怒と我欲にまみれた醜い歌声が、生まれてはまた消えていく


この歌は誰にも届かない


負け犬のメロディーに耳を貸そうとはしないから


無慈悲な闇夜の静けさが、負け犬を捕らえて逃がさないから


それでも負け犬は吠え続ける


その先に何も無いことなど、遠の昔に知っているのに


歌う


話す


呼ぶ


叫ぶ


書く


描く


創り出す


負け犬は遠吠えを止めない

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