隣人がDQNなんで飛ばします

「どういう意味ですか?」

「これは、被写体に向けちゃ駄目だかんね。これはね、扉に向かって押すんだよ」

「そしたら、どうなるんですか?」

「どうなるか使えばわかるって!まぁーー、使ったら説明したげるからさ」


俺達家族は、家の中に案内される。


「うちは、ルビー。あんた達の向かいに住んでるから!何かあったら、何でも聞いて。あっ、ここでの名前は、三山沙紀みやまさきってのよろしく」

「よろしく」

「で、あんたら家族は今日から今井」


三山さんは、俺達の名前を次々に言う。

親父は雅則まさのり、祖父は隆三りゅうぞう、母親は真由美まゆみ、祖母は典子のりこになった。


「で、あんたは亮介りょうすけ

「亮介ですか?」

「今日から、それがあんたの名前」


俺と親父と母親は、外での役割があると告げられた。

親父は、明日から会社ってやつに行かなきゃならなくて……。

母親もパートに行かなきゃいけないらしい。

俺は、来週から学校に行く事を伝えられた。


「じゃあ、そうゆう事で!何かわかんない事があったらいつでも聞いて」


三山さんは、ヒラヒラと手を振って家から出て行く。


「それじゃあ、各自。こっちの生活になれる為に色々調べよう!解散」


祖父の言葉に俺は家を飛び出した。

シールドがあるわけでもないのに、平和な世界が広がっている。


すごい……。

ざわめきもなく静かな街並み。

祖父が連れてきた中では、一番の場所だ。


ヴォーーン


何だ?!

何の音だ?!


ヴォーーン

ヴォーーン


真っ赤なものがやってきた。

そいつは、鼓膜が破れそうなほどの音をあげる。


静かな街並みは、いっきに五月蝿くて堪らない場所にかわる。


ヴォーーン

ヴォーーン


それでも、それは止む事がない。


ヴォ……ヴォーーン

ヴォーーン


真っ赤なそれは、隣の家に行く。


うるさい。

うるさい。

うるさい。


イライラした俺は、隣の家の玄関が見える位置に移動した。

電源ってボタンを押しながら、2を押す。

これで、俺の正義が貫ける……はずだ。


真っ赤なそれから降りてきた男が玄関の扉に手をかける。


「ウギャ」


変な声が聞こえたと思ったらピカッと光った。

どうなったんだ?


「さっそく使ったんだ」

「三山……さん。今のは?」

「あーー。あれ?車」

「いや、違います。光」

「あーー。あれね。異世界に飛ばされただけ。そのうち帰ってくるから」


三山さんの言葉通り男が帰ってきた。

頭の上に葉っぱをたくさん乗っけている。


「何だ?今のは?何だったんだ?」

「これとこれ押してみ」


三山さんに言われて、電源と7を押した。


「ウギャ」


家に入ろうとした男がまたいなくなった。


「どうなったの?」

「明日には、帰ってくるから」

「じゃあ、また五月蝿くなるって事だよね」

「それが嫌なら、これを押せばいい」

「これ?」

「うん。無限ってボタンだから……。帰ってこなくなる。で、家族もろとも飛ばしたければ電源と青と無限を押せば。家中の全てのドアが入り口になる」


三山さんは、手についてる何かをみると慌てていなくなった。

家族全員は、大げさだろう。

俺は、家に帰る。



二日後……。

あいつが帰宅してきた。異世界で何かあったのか少しだけおとなしくなった。

どうやら、今日は車ってのを動かさないらしい。

その日の夜は、穏やかに過ごし、ご飯を食べて、二階の部屋で眠った。


「ハハハ。何言ってるのよ!そんな事、決めてどうするの」

「だから、言っただろう」


大きな声が聞こえて目を開けた。

いったい何だ?

俺は、慌てて一階に降りる。


「五月蝿くて眠れん」

「父さん……」

「ああ、王子。いや、亮介か……。五月蝿くて寝れなくてな。目が覚めたんだよ」


親父の言葉に俺は、ダッシュで二階に上がる。

二階の窓から隣人の家の

窓が見える。

俺は、迷わずに電源と青と無限を押す。

せっかく素敵な街にやってきたのに、こんな事で駄目になりたくなかった。


「じゃあ、行くよ」


あいつが車に乗り込んだ瞬間。


「ウギャ」


隣人の親が玄関の扉を開けた瞬間。


「ギャア」


そして……。

隣人はいなくなった。


「よっしゃあ!」


俺は、穏やかな日常を手にした。


「これは、もう必要ないかな」


朝起きて三山さんに会いに行く。


「いやーー。皆さん迷惑してたんだよ。河原木かわらぎさん一家には……」

「これは、俺にはもう」

「必要だよ!これから先だって、あっそうそう。先ほど河原木さん一家がきたよ」

「河原木さん一家?それは、俺が飛ばしたんじゃ?」

「あちらは、新生。挨拶に行こう」


三山さんに連れて行かれる。

確かに、隣人の使っていた車はなくなっていた。


「あれ?犬は?」

「可哀想なんで、静かにさせたよ」

「大人しい犬になったのか?」

「はい。それは、やっといた」


三山さんがインターホンを鳴らすと「はい」と小さな声が聞こえる。


「ここのルールを説明したいのですが……」


三山さんは、かしこまった声を出す。


「わかりました。今開けます」


玄関が開いて現れたのは、綺麗な女の人。


「中に入れてもらっていいですか?」

「あっ、はい。どうぞ」


女の人が中にいれてくれる。

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