第33話 そして、また

「私は力を失った。」

 主要メンバーが集められた中、楯無管理官から発表があった。

 心の中で大きく動揺した者もいたが、それを口にした者はいなかった。

「まあ、お前たちはこれまで通り、与えられた任務をこなしてくれればいい。」

 今までも、管理官は「指示」のみ、その場の人員での任務遂行が基本、非常時のみ異能力でサポートしていた。

 ……リョウきゅん♡以外は。

 その、リョウきゅん♡(楯無良器)も、ずっと姉の媒介(能力を中継)だと思わされていて、実は自分に玄武が宿り、自らの意思で『山』を発動できる……つい最近、クサカと直接遭遇する直前まで知らなかった。

 今までは、その力を隠すために姉の能力を借りていただけ、これからは自分の異能力で戦える。

 以前と同じ、いや、戦闘経験を積み、

 以前以上のチームになったと思っている。

 楯無キドラ目が語っている。

「はい!」

 力強い返事が返ってきた。


「悪魔召喚は阻止できた。もう、あの特命係はいらないのではないか?」

 警察庁長官、楯無キドラを嫌っている。

「クサカという男は、陰陽師系の一族としては、かなり末端の家柄だったそうです。」

 次官の言葉。

 末端の陰陽師でさえ、あんな悪魔を呼び出せた……そういう含みがある。

「ぬうう……」

 苦虫を噛み潰し、噛み潰し、噛み潰したような顔の歯ぎしり、

 異能力者の犯罪も減らない。

 やはり、楯無管理官、それとそのチームは必要だ。

 長官にもそれが分かっている。


 楯無 喜怒楽、彼女の一番の武器は、

 異能力(トリック)ではなく駆け引き(トリック)、

 だからこそ、警察庁異能力チームは強い!

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