第19話 戦闘プラン
白金台に着いた。
カーナビは使えないが、宝箱から入手した地図が、カーナビの役割を果たした。
近隣の地図へと自動で切り替わる不思議な地図。サチちゃんのサーチにだけ反応する。サチちゃんが手にすると切り替わり、目標設定(今は防衛大臣の家)すると、矢印でルートを示す。
助手席にサチちゃんが座り、亜美さんが地図を確認しながら運転する。
地図に目標の家が載った。もう近い。
別世界だ。マンション等も多いが、一軒家が一軒家じゃない。
邸宅。ホワイトハウスとか海外ドラマのセレブ宅に近い建物だ。
これ、一家族しか住んでないの?って感じ。
その中に、
魔物に守られた家があった。
機動隊の配備のように、密集して集団で魔物の立っている。
あの集団に守られている中へ入るのだろうか?
車で轢くには、大型トラックか戦車が必要だ。
人型、半魚人のような、顔はカエルっぽい魔物。あのトボけた顔のように、マヌケな魔物だと有り難いのだが、カエルのように跳躍して襲ってきたら、この数だ、かなり厳しい。
ライフルの残弾は約40。外にいるのは約50。中が見えない。高い塀が邪魔している。サチちゃんのサーチでも中の敵が確認できない。
「『いない』ではなく『見えない』ってこと?」
「はい。」
こうなると少しやりにくい。
単身で中へ侵入し❝彼女❞だけ救出して離脱する……というプランが早くも消えた。
門も丈夫そうだ。ドラマのように車で破壊するのも厳しい。
「さて、どうしよう……」
言いながら、車で少しずつ魔物集団に接近。車のゾーンがどの程度効果あるのかを、亜美さんは測りながら近づいている。
屋敷に面する通りはそれほど広くない。車はすれ違えそうだが、Uターンは厳しそう。集団が襲って来たら、バックで大通りまで逃げなくてはならない。
「奴らの耐久力と機動力が見たいな。」
同じタイプの集団だ。1体の能力が分かれば攻略の糸口になる。
「ライフルで撃って見ましょう。」
姉ちゃんが名乗り出た。
「そうだね、いいかも。」
同意しつつ、バックで大通りに戻る亜美さん。
大通りに戻った。正門の魔物が遠くに見える。50m以上ある。クレー射撃の散弾では厳しい距離だが、
「ここから狙える?」
「やってみます。」
亜美さんと姉ちゃんが車から降りた。
車にすぐ逃げ込めるよう、ドアは開けたまま、亜美さんが車から少し離れた。
敵は感知してない。この距離なら気づかれないと分かると、
もう1人、降車。
ヒナタさんが、運転席へ移動した。
「何かあったら、私を置いて逃げて。」
そんなの出来ないと言おうとしたヒナタさんだったが、
そうなのだ。亜美さんは車並みのスピードで走れる。先に逃げても追いつける能力がある。
サチちゃんに周りを警戒させながら、姉ちゃんがライフル射撃の準備に入る。
全員、耳当て(ヘッドフォン)を着用。必要だからと、途中の家電量販店で人数分調達した。アイちゃん用のもある。嫌がるかと思ったが、アイちゃんが笑ってくれたので良かった。
徹底している。
さすがは、「専守防衛」、守るを第一とした集団の士官候補だ。
スラッグ弾。12発だけ父さんが入れておいてくれた特別な弾丸を使う。
簡単にいうと、散弾しない弾、金属の塊の弾。同じライフルで撃てる。射程も威力も高い。散弾しない分、射撃の腕が必要だが、
姉ちゃんの能力は『シューター』。現実では無理な射撃も、こっちでは可能だ。
発砲!魔物の頭部を貫通した。
煙となって消える魔物。他の魔物がざわつく。
……が、
こちらに向かって来ない。
距離があるからか、入口を守るのが優先なのか、1体もこちらに来ない。
「うーん……よし、
ヒットアンドアウェイ作戦で行こう!」
亜美さんが策を思いついたようだ。
全員乗車してバックで近づく。
距離15mまで近づいた。反応はない。
姉ちゃんが窓から半身乗り出す。反応はない。
ライフルを構えて、発砲!
反応はあった!
姉ちゃんが車内に入ったのを確認して、車が急発進。あらかじめ言われてたので、みんな踏ん張っている。
が、すぐにスピードを落とす。
走って追いかけて来ない。数体が向かってきたが、思ったより速くなく、すぐ諦めてしまった。
「サチちゃん、どう?」
魔物の動きをずっとサーチしていた彼女に訊く。
「魔物は増えてません。中からも出てきてません。」
見えてるのを倒せば、第一関門突破?
その想定でさらなるプランを決行した。
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