第42話 septem

 斎の問いに、少年はなにか楽しそうなものを見つけたかのような笑みを浮かべる。

「I am the man who came from Arkham」

「Are you kidding me?」

 ふざけているとしか思えない少年の言葉に、すぐに疑問を返す。

「Why?」

 理由を尋ねながら斎に近づき、少年はより一層、楽しくて仕方がないという表情を浮かべる。

「Why? Are you saying it seriously?」

「You bet」

 少年はそう答えると、斎の腕を掴んでいる絢子の手に触れた。すぐに、絢子の身体が激しく震えだすと強く掴んでいた斎の腕を離し、その場から逃げ出そうとする。それを阻止するかのように、少年は絢子の腕を掴む。

「Stop it!」

 斎が金髪の少年の手を止めようと手を伸ばした。

「It is none of your business」

 言い終わった瞬間、少年の足が斎の頭部に向かって勢いよく蹴り上げられた。斎はとっさに上段受けの構えを取るが、少年の足は斎の腕に当たる寸前で止まる。

「Is it a karate?」

 好戦的な笑みを浮かべ、足を下ろした少年が尋ねる。

「Can you dig it?」

 斎の言葉に、少年は獲物を見つけた喜びの表情を浮かべる。

「I am getting excited」

 斎はため息を吐く。

「I have the blank of six years」

「So what?」

 斎は、真っ直ぐに少年の瞳を見据えた。

「Therefore, I worry that I won't be able to show you a very good time」

 挑発とも取れる返事を聞くと少年は、掴んでいる絢子の腕を離した。絢子は力なく崩れ落ちるようにその場に座り込むと、何かを呟き始める。

 戦闘可と受け取り、少年は挑戦的視線を返す。実際、斎も半分以上は挑発として口にしていた。

 改めて少年を見る。先ほど繰り出された蹴りから、少年が使うのは打撃系格闘技か総合格闘技である事が予想できた。

 状況確認を含め、改めて少年を見る。先ほど繰り出された蹴りから、打撃系格闘技か総合格闘技である事が予想できた。

 慎重に、辺りの様子を確認する。玄関前で多少のスペースはあるが、すぐ後ろがドアという逃げ道が無い状態だ。挑発はしてみたものの、六年のブランクと喫煙という状況でまともに身体が動くのかと、今更ながらに後悔する。

 覚悟を決め、呼吸を整えだすと微かに冷たい風が流れるのを感じた。少年もそれに気がつき、視線を斎から絢子へと向ける。すぐに冷たい風は勢いを増し、辺りを巻き込んでいく。強くなっていく風の中、なぜか少年だけが吹き荒れる風の中で髪一筋も乱さず、その場に立っていた。

「Hey! Give it up. Your resistance is futile」

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