西瓜な胸に一目惚れ
たっきゅん
第1話 激突・宇宙外来魚
「
俺が操縦席にある中央のレバーを全力で回す。すると鮎型のロボッ
「
それを受けた黒魚は仰け反りながらも川を跳ね、体をうねられながらも態勢を整えて再び
『
ガチャン。ウィーン、ウィーン、ウィーン、ウィーン
「ちょ!
一方的な通信が機内のスピーカーから届けられ、真っ赤なパトランプが点灯して回り出した。何度かの出撃を得て俺はこれが命の危機に晒されていることを学んでいた。
「緊急脱出ボタン、
なので、黒魚が向かってこようが速やかに緊急脱出へと移行する。―――まずはコックピットの右上に備えられている非常用ボタンだ。これを保護ガラスを叩き割って押す。
ウィーン、ウィウィーンン、ウィィーンン
「
けたたましい警報音が二重になって鼓膜を震わす。しかし、一秒を争う命懸けの状態ではそれすらに小川のせせらぎのように聞こた。そして、目の前に現れた定食屋で使われているタッチパネルに表示されている〝鮎の塩焼き定食〟を迷いなく押す!
『選択された画像が違います。それは〝ニジマスの塩焼き定食〟です。もう一度パスワードは合っているのでもう一度画像を選択してください』
「
「ざけんなっ!!! おめーも食わせてやるから! 黙っとけッ!」
温厚な俺でもキレるぞ、あのクソ野郎! とりあえず黒魚は虫だ。なんで緊急時に使う機能にそんなややこしい画像を混ぜてやがる。―――深呼吸をして落ち着いてから正しい画像を探し出してタッチする。
『パスワード、対象画像……、確認。これよりコックピットシートの射出を行います。5・4―――』
『
「ちょ、まっ! 流美子さんぁあああああああああんっ!?」
始まった緊急脱出のカウントダウンへと無慈悲に重なる流美子さんのカウントダウン。通信は切れており俺の叫びは彼女へは届かない……。
流れる川の中心で串刺しになり燃え盛る二匹の巨大魚、と言っても一匹はロボなのだが。それを俺は堤防から眺めていた。
「一男さん、おつかれさま」
「流美子さん。……俺のこと嫌いですか? 殺したいほど憎いんですかぁあああああ!?!?」
怖かった感情の波が濁流となって溢れ出して流美子さんの豊満な西瓜のクッションへと俺は飛びついた。
「―――これも地球を守るためですよ。一男さんならきっと無事に帰ってこられる私はと信じていましたから」
俺は流美子さんに抱きしめられながら落ち着くまでそのまま柔らかな西瓜のクッションで泣き続けた。
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