第2話 スターウォーズはもう新作を作らない方がよいのでは

一方その頃、タゴネール・ファブウィッチ書記官はストームトルーパーのコスプレをした息子の持つ銃が本物にしか見えず、命懸けの説得を試みていた。


「坊や、それはおもちゃじゃない。本物だ。ああダメだ。引き金に指をかけるんじゃない。パパの脳天をそんなにぶっ飛ばしたいのかい?」


息子は無邪気なものである。パパが脅えた声を発するのが愉快で、もっと困らせてやろうと、ただそのささやかな好奇心だけで、引き金を引いた。


銃口から飛び出たのは実弾ではなく赤ペンキだった。


「ふう、心臓が飛び上がったぜ。最近のオモチャは本物そっくりなんだなァ」


安堵した書記官はしかし、いま現在も各地で起きている虐殺を思い出し、いま自身が味わった恐怖を、さらにその続きを、味わい続けている人がいるのだという考えが頭をちらつき、やがてこの考えが定着すると、彼を別な人間へと変えていくのであるが、その発芽が確認できるようになるのはまだ先の話である。


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