第4話 王都の夜

 城を出たラティア達は、翌日、王都の港から出る隣国のラパニア国行きの船に乗る為に、港近くの宿屋に泊まることになった。


「ハレク、バロン、ベルロット、目的の場所に着くまで、大分、長い道のりになりそうだから、貴方達、3人もゆっくり休んでちょうだい」

「了解致しました。ラティア王女もごゆっくりお休みになられて下さい」

「お心遣いありがとうございます。何かありましたら遠慮なく仰られてくださいね」

「では、私達はこれで失礼します」


 ラティアの近衛騎士であるハレク、バロン、ベルロットはラティアにそう告げて、部屋から立ち去る。ラティアはそんな3人の騎士達の姿を見送った後、白いふかふかのベットに歩み寄り、そっと自身の体を白いベットに預ける為に寝転がる。


「何か、とても、疲れたわね。お父様はずっと気にしていたのかしら……? 私があの時、お父様を庇ったせいで傷を負い、病にかかってしまったことを」


 もし、そう思っていたとしても、それは仕方のないことだ。それに、私はあの時、自身の判断で動いたことを悔やんではいないし、治し方が解明されていない宝石の病にかかったのは、あの出来事がきっかけでもあるが。決してお父様のせいではないのだから。


 だから、昨日、父親であり、国王でもあるアルドアからの話しが、宝石の病についての事だと言われた時、私は少し動揺してしまったのだ。それも、今まで陛下が宝石の病のことを気にする素振りを見せなかったからである。


 あの日の出来事を境に、陛下の口から宝石の病の話しが出ることはなかった。けれど、それは私のことを思って、言わなかっただけであったのかもしれない。

 陛下が、宝石の病に侵されている私のことを思って動いてくれていたということに、自分自身で気付かない振りをしていた心の蟠りが、解れていくような気がしたのだ。



 その日の夜、ラティアは中々、寝付けなかった為、部屋の窓を開けて、暗い空に星が点々と瞬いている夜の空を見上げていた。


「ラピティーア国の夜空は本当に綺麗ね……」


 自国の夜空が、こんなに綺麗であることをラティアは嬉しく思いつつ、明日から目的の場所女神の宮殿に着くまで、気を張らなければと気合いを入れ、ベットに戻る。

 次は眠れそうだと目を瞑りながら、心の中でそっと呟きラティアは意識を手放した。

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