第45話 次はどこへ?


 雪野はカツ丼、俺は唐揚げ定食を食べて、かなり満足しながら店を出る。


「カツ丼……もう一杯いきたかった」


 雪野は店を出て早々、名残惜しそうに呟いた。

 全国のお偉い学者さんは細胞の研究よりもこいつの腹がどうなっているのか解析するべきだと思う。


「すぐ食い意地張るなよ。お前は腹八分目って言葉を知らないのか?」

「ご飯は満腹になる前にやめといた方がいいって言葉?」

「そう、だが」


 メシ関連の言葉なら分かるのか……。


「でもわたし、まだ40パーくらい」

「はぁ……言うと思った」

「温森くんは?」

「俺? 俺はー、70パーくらい?」

「なら安心。70パーならまだ食べられるもん」


 どうやら雪野には70パーがもう程々の数字という常識が通用しないみたいだ。


 こんなことなら100パーって言っておけば良かったかも……。


「ふふっ」

「な、なんで笑ってるんだよ雪野」

「だって、温森くんもまだ食べれそうで嬉しいなって思ったから」


 雪野は心から嬉しそうな柔らかい笑顔を見せた。

 そんなこと言われたら、さっきお腹いっぱいとか言わなくて良かったと逆に安堵してしまうものだ。


 し、仕方ない。もう少し雪野のガッツリ珍道中に付き合ってやろう。


 俺の腹のキャパはもうそこそこ膨れているが、エスコートしてくれてる雪野のためにもここは踏ん張らないとな。頑張れ俺。


「ここまでデザート、カツ丼、と来たからね、次は〜」


 デザートからカツ丼の流れがもうおかしいのだが……。


「パン、食べ行こ?」

「ぱ、パン?」

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