第69話 滅びますよ?
国王「それは聞けん相談だなぁ。獣人はこの国の大切な財産だからな」
サイジラ「国交もほとんどないですし…そうですな、表立った紛争はないものの、静的な敵対関係に近い状態と言って良いかと」
ブライナスは肩を竦めた。
ブライナス「その関係を、改善するチャンスとは考えられませんか?」
ブライナス「コレトラ王―――」
メイヴィス「ブライナス、もういい」
メイヴィス「コレトラ王。私は駆け引きなど苦手でしてな。はっきり言いましょう。我々は、警告に来たのです」
サイジラ「けっ、警告? …とは一体?!」
メイヴィス「焦るのはこの国のほうであると思うぞ?」
メイヴィス「国の存亡に関わる話であるのは間違いない。ただ、この国の脅威は帝国ではない」
コレトラ「?」
ブライナス「現在、とある獣人とこの国は戦争状態に突入しつつある…。そうですね?」
サイジラ「まさか…ワッツローブに現れたという猫人の事か?!」
メイヴィス「思い当たる事があるようですな?」
メイヴィス「この国の外れの街、ワッツローヴで、一人の獣人によって騎士団が壊滅させられた」
サイジラ「なぜそれを…」
メイヴィス「実は、我が国の予言者が、このマニブールに我が国にとって価値のある存在となる【賢者】が出現すると予知いたしましてな。密かに調査員を派遣して捜索していたのじゃ」
サイジラ「調査員? スパイを送り込んだのか」
ブライナス「いえいえ、そんな大袈裟なものではないです、ただの観光客ですよ」
ブライナス「その賢者が獣人であっても? あなたは獣人がお嫌いなのでしょう?」
メイヴィス「この国は…いや、コレトラ王は、獣人を大変嫌っているのは有名な話じゃ。仮に獣人から【賢者】が出現したとなっても、その人材を有効に活用できんじゃろう?
我が国の予言者の予知でも、その【賢者】は
ブライナス「既に、大きな被害を受けてしまっている、そうですよね?」
…全力で消す!」
メイヴィス「やめておきなさい。その獣人と事を構えれば、この国が失くなる、予言にはそう出ておる。だから警告にきてやったのじゃ。素直に受け入れ、敵対をやめ獣人の賢者を我が国に引き渡せば、この国はまだしばらく存続できるじゃろう」
突然笑い出すコレトラ王に少し驚くメイヴィスとブライナス。
メイヴィス「…国が滅びますよ?」
ブライナス「……必要だと判断されれば…そのような事も選択肢の中にある事は否定しませんがね」
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