第2話
「マカロン!お前は私の婚約者である事を良い事に、純粋無垢で心清らかな我が愛しのエリーを虐げたそうだな!?」
エリー?
後々の事を考えている事もあり、ディック王子のお手付きとなった女性を把握しております。
エリーという方は確か・・・
ディック王子の隣にはピンク色の髪に綿あめを思わせるふわふわ雰囲気の愛くるしい女性が寄り添うように立っている彼女の顔を見て思い出しました。
平民でありながらリッチミルク男爵家に迎えられた令嬢が居たと一時噂になっておりましたね。
父親が貴族であっても母親がメイドであれば、その子供は私生児とみなされ平民であるのは当然の事です。
主人のお手付きとなった事で奥様の怒りを買ってしまったメイドは男爵家を追い出されてしまったそうです。
その後、メイドは春を鬻いでエリー嬢を育てたのだとか・・・。
そんなエリー嬢ですが、母親の死をきっかけに父親の男爵が引き取った事で平民から男爵令嬢になったという経歴の持ち主です。
平民として育ったが故に、貴族令嬢にはない天真爛漫な振る舞いと笑顔が殿方の関心を惹いているらしく、噂によると既にお手付きなのだとか。
まぁ、これは噂ではなく真実なのですけどね。
ちなみにこれ等の情報は、ビターショコラ家の影から得たものです。
ディック王子・・・あの方はエリー嬢のお母様が春を鬻いで一人娘を育てていた事と、お母様の背中を見て育ったエリー嬢が十二になるかならないかの頃からお母様と同じ行為をしていた事をご存じなのでしょうか?
そんなエリー嬢は、貴族子息が共有している娼婦である事を存じているのでしょうか?
知らないからこそ、ディック王子はエリー嬢を純粋無垢で心清らかな女性だと思っているのですね。
「男爵令嬢という理由だけでエリーに嫉妬していたお前とは婚約を破棄する!そして私は真実の愛で結ばれているエリーを妻に迎える!マカロン、お前は私の妻となるエリーを虐げた罪で国外追放とする!!」
第二王子・・・ご自分の立場を分かっているのですかね~?
罪を犯した者に対して国外追放を言い渡せるのは国王だけなのですよ。
第二王子である貴方にはそのような権限などないのですよ。
この人・・・自分が国王になったつもりなのでしょうか?
しかもご自分に縋りついているエリー嬢は無類の男好きで、まだ十八歳だというのに何度も手術をしているからなのでしょうか?
子供を望めない身体になっているのですけど・・・。
純粋無垢で心清らかな女性とは、無類の男好きで何度も子供を堕ろす為の手術をするのですね。
恥ずかしながら、純粋無垢で心清らかな女性という言葉の意味を初めて知りましたわ。
私を嫌っているディック王子がこのような事を言い出す事など想定済みでしたので、この時の為に一族総出で準備していましたの。
母の故郷であるチリペッパー王国への亡命です。
「第二王子のそのお言葉、スイーツカフェ王家の総意としてしかと承りました」
ディック王子に婚約破棄宣言された私は心の中でサタデーナイトフィーバー・・・ではなく、狂喜乱舞しつつカーテシーを返した後、行動を起こしたのでした。
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