第11話
俺は3人に作戦を伝え、モンスターと睨み合う。
「ラムド、雷連発」
「了解!」
俺はすぐにラムドに指示を出した。ラムドは指示通りに雷を連発してくれた。既に息が切れており肩で呼吸をしている。
「エリック。風魔法」
「分かってる」
(素直だ……)
もう少し反発的なことを言ってくるかと思ったが、意外と素直だった。いつもこうだったらいいのにと俺は思った。
モンスターは俺の予想通りの動きになり、ルークに準備するように指示を出した。
「了解、レアパーソン!」
レアパーソン呼びはいい加減慣れてきた。……レアパーソンの意味は知らないけど。
(今度聞くか……)
俺はそう思いながら目の前のことに集中する。モンスターの動きは完全にこちらの予想通りだ。しかし、消耗が激しいので持って後数分というところだろう。
「ルーク、3秒後に打て」
「了解」
ルークの雰囲気が変わった。狩人、狩猟のような雰囲気の覇気だ。顔をチラッと見ると怖かった。何かを絞めるような顔をしながらニコッとしていたからだ。
「……打て」
「アデュー」
口癖なのかよく分からないが、その言葉と共に数本の弓が放たられた。その弓は全てモンスターに当たり、モンスターの動きは止まった。
「お、終わった?」
エリックが目に前のことに信じられないような顔をして言った。
「ああ! 俺たち勝ったんだ!」
エリックの言葉を肯定して勝利をラムドが宣言する。
「私たちが協力したからだね」
ルークがそう言うと後ろから声が聞こえてきた。
「み、みんな!」
「「「エデン!」」」
先生を呼びに行ってくれていたエデンが戻ってきた。
「みんな無事かい?」
「アドラー先生!」
アドラーが心配そうに声を掛け、よく頑張ったと頭をポンと1人1人にしてくれた。俺は少し離れた場所から見ていたため、アドラーが近づいてくる。
「君もよく頑張ったね」
「俺は何も……」
何もしていないと言おうとするとルークに止められた。
「ノン! 君は動きがバラバだったことに気づき、私たちに指揮をとってくれたじゃないか!」
それを聞いたアドラーは驚いた様子で俺を見た。
「本当かい?」
「本当ですよ!」
返事をしたのは俺ではなくラムドだった。俺は少し付け加えておくことにした。目立ちたくはないし、偶然ということにしておこう。
「たまたまですよ。動きがバラバラだったのに気づいた。少しアドバイスをしただけです。俺は魔法は使えませんから何もしていませんよ」
そう言うとエリックが少し怒ったように俺に向かって言ってきた。
「ちげぇだろうが! オレらを導いてくれたのは本当のことだろ!」
「そうだっけ?」
「とぼけんなって!」
どうやら誤魔化すのは無理みたいだなと俺は確信した。そんな様子の俺たちにエデンが声をかける。
「あ、あの。どんなふうに戦ったの?」
「ああ、それはな……」
ラムドが説明しようとしたときにアドラーが遮った。
「それは学園長にも説明しないといけないから。明日、全員学園長室に来てね」
「「「えーーーー?!」」」
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