俺TUEEE系主人公に、お前SUGEEEっていう役のポジションおじさんなんだけど、みんなを褒めてたら主人公がモテなくなってなんかごめん

だぶんぐる

第1話 この物語は、俺TUEEE!

 俺TUEEEを知っているか?


 まあ、平たく言うと、めっちゃ強い主人公。

 だと俺は認識している。

 周りとレベルが違いすぎて、圧倒的実力でねじ伏せていく話を俺TUEEE系なんていう事もある。


「トレス! 今よ!」

「わかった! 〈サンダ〉のコピーをして……えい」


 金髪ツインテールちゃんに促され黒髪の青年が放った『サンダ』は巨大な黒竜を包み込むほどの雷で、その轟音は街中の建物を揺らした。そして、黒竜は煙をあげながら倒れていく。


「へ? マジか……弱すぎるだろ。今のはただのサンダだぞ」

「「「「「「「「いやいやいやいや!」」」」」」」


 これは俺TUEEE系の話だ。

 ただし、俺が俺TUEEEの話ではない。


 何故わかるか?

 俺は、この話を知っているからだ。


 今、俺が生きている世界は、前世で読んだ『外れスキル〈コピー〉で無能扱いされ追放された俺、実は最強のスキルの持ち主らしいんですが、いやいやそんなはずないだろ?』に酷似しているからだ。


 そして、そういう風に知っている物語の中で普通は主人公に転生するよな?

 だけど、俺は違った。


「トレス……お前、SUGEEEEEEEEEEE!」


 リアクション要員の銅級冒険者おっさんに生まれ変わっていた。


「ゴメス……この世界の生き物、弱すぎないか?」

「お前がすごすぎるんだって何度言えば分かるんだよ!」


 ただただ主人公アゲを続ける男、それが俺、ゴメスだった。

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