第6話 魔法犯罪組織
村長テラダはこくんと頷くと、
「実は最近この島に、ある犯罪組織の一味が潜伏しているらしいという噂があるのです」
「犯罪組織?どんな奴らじゃ?」
「わかりません。ですが昨日、ある事件が起こりました。なんと、この島の警備を担当していた
「ふむ。それはおそらく......ただの犯罪組織ではないな」
「はい。魔法犯罪組織かと思われます」
「魔法犯罪組織!?」
思わず俺は声を上げてしまった。
だって、魔法で犯罪組織だぞ!?
さっきまでは魔法って聞いて漠然とファンタジーなものを思い浮かべていたけど......つまりは魔法を使って悪事を働く集団ってことだよな?
いやいや怖い怖い!
「そして問題はそれだけではないのです」
村長はさらに表情を曇らせる。
「まだ代わりの魔術師が派遣されて来ていないのです。昨今、国家魔術師の人手不足が問題視されていましたが、それが原因でしょうか」
「なるほど。ということは、今このタイミングで〔ゼノ〕が現れたら大変なことになると」
「そういうことです」
......イナバの言った〔ゼノ〕とは、いわゆる魔物の総称だったよな。
なんでもイレギュラー的に生じる〔次元の裂け目〕から時々、人間の国に迷いこんで来るらしい。
それを退治して治安を守るのが国家魔術師だったっけ?
最初にイナバから説明を受けたときは、あまりにも非現実的過ぎて話半分どころか話十分の一ぐらいで聞いていた。
だけど、こうやって他人の会話の中で聞いていると、にわかに現実味を帯びてきたかも......。
「それで不審者と思われる存在に敏感になっておったというわけか。小僧、納得したか」
イナバが様子を
「まあ、うん」
だって、俺にとっては何もかもが青天の
口に出したらイナバに怒られそうだけど......。
「......ところで」
ここで村長がひと息の間を置いてから話を切りかえた。
「物騒な話をした後で言うのもなんですが、もしよろしければワシらの村でゆっくりしていきませんか?田舎だが歓迎させてください」
これって願ってもない申し出だよな?
でもイナバはどう考えるのだろうか?
そう思ったのも束の間。
「うむ。では歓迎を受けてやろう」
イナバはあっさりと承諾した。
「今はそうするしかあるまい。今後に向けてまずはここを拠点にするぞ」
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