#私の先輩について

29.「心を開ける人に出会えるといいね」って。

　ぽくぽく散歩していると、頭の中で考えが浮かんでは消えてった。

　考えれば考えるほど、先輩と相性が悪いことを気づいてしまう。

　私は好き嫌いせずに食べられる、細かいことは気にしない、一緒にいたとして居心地は悪い、先輩で笑うことはあるけど一緒に笑うことはない。

　先輩は気を使う人だ。

　私も気を使い過ぎる人だ。

　二面性がある。

　先輩は開けっぴろげに裏の顔を出す。

　私は出さない。

「心を開ける人に出会えるといいね」と元彼を振った時にも言われたし。

　無理なものは無理だ。

　あんまりだって思うほど悲しいことがある。

　この人とは続かないこと、私が見限ったり、飽いてしまう未来が見えること、私が見下げてしまうこと、私の全てを受け入れてくれないこと、私がさらけ出せないこと。

　冷静に判断するだけで好意って弾け飛ぶ。

　先輩を呑みに誘おうかなと思ったけど、論理立てて無理なことが分かっちゃったから私から何か言うのはやめにした。

　もう、別れる恋はしないと決めていたから。