27.似ているけれど、違う人

 たとえば、先輩が完璧主義者がゆえに誰もよせつけないように、私も仕事では誰の手も借りないでいるのかもしれない。もうちょっと距離縮めよう! とか、そんな抽象的なことを言われたって先輩も私も難しいんです。

 似たところがありすぎるがゆえに私と先輩は相性が悪いことなんて、とっくの昔に知ってた。

 だから、逆に気になった。

 相性が悪いからこそ感性が違って面白く映って、人付き合いが似てるからこそ惹かれていたし、私と使う言葉が違うからこそ魅力的に映った。

 そんなわけで、先輩は違うんだと悟ってしまった。

「稲穂さん、理屈で恋し過ぎじゃない!?」と遠い遠い記憶の奥底から誰かの声が聞こえてる気がする。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る