4.先輩と飲み会

 現在の職場に転勤したとき、先輩も私も失恋したてだった。

 先輩の口からは元カノの話がこぼれる。

「車に乗って遠くまで旅行に行った」

「彼女が好きなアイドルの舞台についていった」

「集合時間二時間前に集合場所についてて彼女に驚かれた」

 楽しそうに元カノのことを語る。

「それでも別れたんでしょ」

「彼女が違う男と一緒にいることを知ってね」


 私ならそんなことしないんだけどな。

 なんてね。


 これは、先輩との呑みの席。


 先輩が訊いた。

「そっちはなんで別れたの」

「相性が悪かったんです」

 私はそう尋ねられたときこう答えるようにしてる。

「何かをしてあげる時私は自分の利益を最優先に考えてしまう。

 好きだと見返りなしに楽しませることをしなきゃならないのに。

 相手のことを想って楽しませなければならないのに」

「意味わからん。結局してることは一緒やろ」


 そうして笑い飛ばしてくれた先輩。

 酔いの世界から見てると、とてもキラキラして見えた。

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