第10話
彼女は、警察に被疑者として捕えられ、自白したにもかかわらず、その後よくわからない理由で釈放された。彼女には、あの時の給水機に毒を入れた瞬間の感覚が、全て鮮明に残っていた。
ゴンゴン
「あぁ?」
扉が開く。彼女が尋ねたのは暴力団組織。なぜか、自分の罪を被ることになってしまったその組織だ。
自分がどうにかなるのは、まだ我慢ができた。
しかし、自分以外の人が傷つくのは決して許容できなかった。
「とりあえず、これを飲め。」
彼女は、室内に入れられ、お茶を出された。正直、少し戸惑っている。
「で、何のようだ。」
「あの、私、犯人なんです。あなたたちの組長が問われてる罪の。」
「そうか、それでなんだ。冷やかしか?」
「私も、警察に「私が犯人だ」って言ったんですけど、聞いてくれなくて…」
「あぁ、潰しに来たか。」
目の前の彼は、拳に小さく力をいれていた。
「潰しに来たっていうと?」
「暴力団組織なんて放っておくと何するかわからんからな。定期的にこうやってありもしない罪を着せて長を捕まえるんだ。」
「え…」
「ところで、お前帰るところはあるか?」
「な、ないです。」
「だろうな。しばらくはうちで面倒見てやる。どうだ。」
「あ、ありがとうございます。」
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