第4話 江川さん
「江川幸三さーん。」
75歳、男性。この方も初診だ。
「おはようございます。今日はどうされました?」
「先生!間違えて水虫の薬、目に差しちゃったんだよ。」
水虫の薬は一部の目薬と入れ物の形が似ているので、1~2年に一人くらい間違えて差してしまい受診にくるのだ。
「しみたり、痛みとかはありますか?」
「差した瞬間しみたけど、いまはゴロゴロしてるだけで痛くないです。」
「ちょっと見せてくださいね。」
「目の表面が少しだけ荒れてますが、すぐに治りますよ。保湿の目薬を出しておきますね。時々、水虫の薬を目に入れる方が来られますが、皆さん綺麗に治りますので大丈夫です。」
「あー、良かった・・・。一瞬、焦りましたよ。」
「受付でお呼びする前に、こちらで一回洗眼しておきますね。処置室の方へ行ってください。」
そうして江川さんは陽子に誘導されて処置室の方へと歩いていった。
結果的に問題になった人は診たことはないが、水虫の薬を目に入れたら気分的に嫌だろうなといつも思うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます