第2話 褒めて伸ばすカンパニー 契約編

あらかた朝の褒め朝礼が終わり、彼は自分のデスクに座る。

 この会社では決まっている業務はない。

 だが業績は右肩上がりを貫いて90度に近い売上を毎月叩き出している。

 その理由は。


「田中がよくわからないけど契約を取ってきたぞ! 偉いな!」

「凄いぞ田中! 偉い!」

「契約取れるとか天才だな! 偉い!」

「田中って名字がまず偉い!」

「これで会社も安泰だ! 偉い!」

「いつもありがとう! 偉い!」

「晩飯奢るよ! 偉い!」

「この会社にはお前が必要不可欠だ! 偉い!」


 オフィスの全員が田中を褒めちぎる。

 彼もその輪に入り最後には田中を胴上げする。

 その後で「契約を取った人達を褒める部隊」に褒められる。

 この人達は「褒め部隊の退社を褒め部隊」と同一の人達である。

 このように契約を取ると褒められ、それを褒めると褒められる。

 褒めるの無限ループなのだ。

 これにより社員全員のやる気はいつもMAXであり契約がどんなに無理難題でも全員でどうにかしていつも褒め合いながら切り抜けている。

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