(二)-19

 仲間である特区外の人間にもクソみたいなろくでなしがいることは確かだ。しかし、特区の中の人間や為政者たちのやり方には、我慢の限界がきていた。

 煙草ヤニを吸いながら警察署から帰ってきた悦子はシェアハウス近くの廃工場に入った。警察署を出てから続けて吸っていた十一本目を地面に落として足先で火をもみ消すと、地下への階段を降りていった。芙美恵も後に続いた。

 地下室に降りると、まだ早朝だったこともあり、ここでいつも作業をしている三つ編みの三木里々(りり)はいなかった。部屋が暗かったので階段の脇の壁に付いているスイッチを押して灯りをつけた。


(続く)

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