光に向かって

筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36

(一)

 キャミソールとショーツだけの姿の豊川悦子は、目を覚ますと二段ベッドの下段から降りた。寝癖のついた肩までかかるロングヘアーをそのままに、寝ぼけた頭のまま部屋を出た。

 悦子がリビングに入ると、そこにはこのシェアハウスの住人たちが既に集まっていて、テレビ画面を見つめていた。

「昨日の正午過ぎ頃、環状八号線で建設中の工事現場付近において、大きな爆発物による爆弾テロがありました。この爆発で付近にいた合計四八人が死傷し、そのうち工事現場にいた建設作業員と警備員と近くを通りがかった通行人の計二三人が死亡しました……」

 液晶テレビが女性アナウンサーの声でそう告げた。

「なんで……」

 悦子がそう呟いた。


(続く)

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