第18話
「行くよ!」
「ああ!」
綾瀬と北条が矢川が抑えているレッドオークに接近していく。
「グアア!!」
『挑発』の効果が弱まってきたのかレッドオークは綾瀬に迫ってきた。が
「おっとお!そっちには行かせねえぜ!!」
「グオオオオ!」
矢川は、再び『挑発』をかけることに成功した。
突然だが、この『挑発』というスキルは個人の技量によって効果が変わるのをご存知だろうか。始めたての頃は誰もが『挑発』をスライムに使い、ボッコボコにされたのはいい思い出だろう。
矢川もそのうちの1人だった。
タンクとして活躍することを夢見た青年は初の『挑発』で
「行くぞみんな!!『挑発』」
「……」
「……」
「(プルプル)」
「グハァ?!」
スライムに突進されるのだった。
だが、何度も何度も突撃し、試行錯誤することでスキルの経験値があがり、タンクとして活躍するようになった。
矢川の本当に凄いところは、タンクとしての才能、ではなくそこに至るまでの努力だ。
タンクというのはダメージを喰らうため、需要があるがあまり人気がない職業だった。
ましてやスキルに関してはどれも使っていかなければ強くならないスキルばかり、Bランクに至るまでの道のりは決して楽ではなかっただろう。
「今だ!2人ともやっちまえ!!」
「「ええ!」
綾瀬は先ほどと同じようにレッドオークに雷魔法"サンダースピアー"を放とうとしたが、ふと考えた。
(もっと威力がある魔法の方がいいのかな…)
もし、サンダースピアーを放って北条っちが斬撃を放ったとしても生き残ってしまったら本当に終わりだ。
自身の魔力もあまり残っていない。
ならば
(よし!)
「みんなちょっとだけ時間を稼いでほしい!」
「おいおいおいまさか放つのか?!」
「失敗したらどうするのよ…!」
「大丈夫!私を信じてほしい!」
「…確実に仕留めろよ!」
「!…勿論!」
意識を自身の体に集中させる。
今から放つのは上級魔法"ジャッジメントサンダー"。だが少しだけ魔力が足りない。
ならば…
(空気中の魔力を集める…)
この空気から魔力を集める行為は物凄く神経を使うため、ほとんど使われないが今は緊急事態なので集めていく。
ポタ…ポタ………
鼻血が出ているのを感じる。
が、無視し続ける。
(………………よし!!)
「みんな離れて!」
「よっしゃ!『バインド』!やっちまえ沙織!」
「やってしまいなさい!」
「行くよ!『ジャッジメントサンダー』!!!」
ドオオオオオオオオオン!!!!
矢川が『バインド』でレッドオークを拘束したのをみて、『ジャッジメントサンダー』が直撃した。
煙が晴れると、レッドオークはプスプスと音を立てて煙を上げながら倒れている。
「今だ北条!」
「北条っちいけー!」
「ええ!!」
北条は瞬時にレッドオークに近づき、分厚い首を剣で切り裂いて切り裂いて切り裂きまくった。
そして、
ザンンン!!
レッドオークの首を完全に切ることができた。レッドオークが消滅していく…。
・や、
・勝った……?
・…のか?
「「「…………勝った……!!」」」
・うおおおおお!
・勝った?!まじで?!えぐいって!!
・すんげえええええええええ!!!
・マジでかったんだよね?え?夢?
・夢じゃないぞ!レッドオークが消滅していく!!
「良かった〜!」
「ありがとね北条っち!」
「綾瀬もありがとう!ナイス判断だったわ!」
いやあ、よかったよかった。
やっぱり若手が成長していくのはいいなあ。
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