トー横のミナミ

５ 夢の欠片

ミナミはいつものカフェに座って遠くを見つめていた。彼女の心は過去と現在を行き来していた。かつての夢と今の現実との間には大きなギャップがあった。

「ミナミ、最近どう？」とサクラが尋ねた。彼女はミナミの隣に座り、彼女の表情を見つめていた。

「うーん、なんだかね」とミナミは答えた。「昔はもっと違う人生を想像していたのに、今は全然違うところにいる」

「昔の夢って？」サクラは興味深そうに尋ねた。

「デザイナーになること。自分のブランドを持つのが夢だったの」ミナミは少し悲しげに答えた。

「それはすごい夢。でも、なんで諦めたの？」サクラの声には心配の色が混じっていた。

「現実って難しいよ。デザインの勉強もしてたけど、どんどん夢から遠ざかっていった。お金の問題もあって」とミナミはため息をついた。

「パパ活で得たお金で夢を追うのは？」サクラは提案した。

「それも考えたけど、何か違うのよね。このお金、どこか不確かで、夢を買うためのお金とは思えない」とミナミは複雑な表情をした。

「お金があれば何でもできると思うけど」とサクラは言った。

「お金だけじゃないの。本当にやりたいことと、やっていることのギャップが大きすぎる」とミナミは答えた。

彼女たちはしばらく黙って、窓の外を眺めていた。外では人々が行き交い、街は活気に満ちていた。しかし、ミナミの心は静かに澱んでいた。

「サクラ、あなたは夢を持ってる？」ミナミが静かに尋ねた。

「私？夢かあ…豪華な生活を楽しむことかな。それが今の私の夢よ」とサクラは軽く答えた。

「それで幸せ？」ミナミはさらに深く問うた。

「うーん、幸せかどうかはわからないけど、楽しいわよ」とサクラは笑った。しかし、その笑顔の裏には何かを隠しているような感じがした。

ミナミは自分の心の中で混乱していた。かつての夢と現実のギャップに苦しんでいた。彼女は自分が何を求めているのか、どうしたいのか、答えを見つけられないでいた。

その夜、ミナミは一人で自分の部屋にいた。彼女は昔のスケッチブックを手に取り、昔描いたデザインを眺めた。彼女の中には、かつての情熱がまだ残っていた。

「私、本当は何がしたいんだろう」とミナミはつぶやいた。彼女はスケッチブックを抱えて、ベッドに横たわった。彼女の心は過去と現在の間で揺れ動いていた。

夜が更けていく中、ミナミは自分の内面と向き合い、自分の人生について考え続けた。彼女は自分自身に正直になることの重要性を感じ始めていた。彼女は夢を追い続けることの意味を見出そうとしていた。

眠りについたミナミの心は、まだ静かに答えを探していた。彼女の夢は、まだ遠くにあるように思えたが、それを追い求める勇気はまだ彼女の中に残っていた。彼女は夢と現実の間で揺れながらも、自分自身の道を見つけようとしていた。