異世界転生召喚士〜人間のクズは異世界でも何とかなる〜

飴と無知@ハードオン

第一章 まず最初にどういうことがあったのかからお話ししてやろうと思いますので頭を低くして聞くといいよ

第1話 転生したりしなかったりしろ!

気がついたら異世界転移なることをする羽目になっていた。


目の前にいる、「転生の女神」が言うには、ここにいる人々は何らかの理由で地球で死に、異世界の輪廻に組み込まれることになったらしい。


ここには複数人、若いのは学生服の少年少女、歳取ってるのは俺と同じ四十代くらいの中年と幅広く、十数人が存在していた。


当然、その中の一人が、「こんな上手い話があるはずがない」だのと言って、その女神サマを問い詰めたが……。


「ですからこれは、必要なことなのですよ。先ほどから説明していますが、あなた方の出身地である『地球』の『日本』はどこよりも恵まれた理想的な世界なので、転生したがる人々が多いのです」


と、女神サマはこれの一点張り。


要するに、俺達が今まで居た『地球日本』と言う世界は、所謂ボーナスステージとかご褒美エリアみたいなもんらしくてな。


他の異世界全てから、「地球日本に転生したい!」って奴が絶えないんだとか。


だが、地球日本という世界に押し込める魂の総量はもう限界。


そんな訳で、俺達みたいなのを異世界に転移させることで、均衡を保とうって話らしい。


聞けば、ここにいる俺達が送り込まれる世界は、地球で言うリアル中世みたいなノリの世界なんだとか。


奴隷制があって、男尊女卑が酷くて、道徳倫理も未熟で、公共サービス……福祉や上下水道や公衆衛生なんかがない、まあひっでえ世界なんだと。


当然、我ら軟弱現代人がそんな世界に放り込まれたら死ぬ。


死ぬので、死なないように「チートスキル」と言うものを付与されるらしい。


そのチートってのが、一つが『言語理解』、二つ目に『健康体』、そして三つ目が任意のチートをもらえるのだとか。


言語理解はまあ、要するに異世界、外国に行く訳だからね?外国語分からんのに外国で生きるのってめっちゃ大変だもんね。うんうんわかるよ、経験があるもん。


んでこの健康体ってのが良い感じのチート。


どうやら、送り込まれる転移先基準で健康体を保てるスキルらしい。


要するに、井戸の硬水飲んだり、鮮度が怪しい肉を食ったりしてもそうそう腹を壊さんかったり、病気になりにくかったりするそうだ。


具体的には、ガンジス川で沐浴しても体調崩さないレベルだとか。


マジ?超凄くね?俺は感心したよ。


ガンジス川はバイオハザードみたいなもんだからねマジで。通りがかっただけでも軟弱者はぶっ倒れる。


まあ、インドの薬は規制ゆるゆる故に薬効がバカ強いから、その辺で抗生物質買って飲んで寝りゃ治るけど。俺はそうした。


あー、それでアレだ。任意のチートをくれるって話だ。


その辺はほら、俺も一応嗜んでるからね?


大体分かる分かる。


アレでしょ?最弱スキルが覚醒してざまあ!俺またなんかやっちゃいましたぁ〜?もう遅い!ってのでしょ?知ってる知ってる。


んー、どうすっかね?


ってか、周りの奴らも飛ばされんなら、周りの奴らが何選ぶかにもよるよな?


目の前にずらーっと並ぶ、スキルカードなるもの。


そこで一人、学生服のガキが『勇気(ブレイブ)』と書かれたカードを取った。


「俺は勇者になるぜ!」


だそうだ。


「よろしいでしょう。『勇気』のスキルは、一つの時代に一人だけが持つことを許されたスキルですので、以降の皆さんは『勇気』のスキルを選べません」


すると……。


「良いスキルは早い者勝ち……ってコト?!!」


「わっ、私は『創造(クリエイション)』で!」


「僕は『転移(ワープ)』を!」


「『鑑定(ディテクト)』を下さい!」


皆、急いで強そうなスキルを掻っ攫い、とっとと転生しちまったでやんの。


んー、どうすっかねえ……。


そうだ。


「おう、女神サマよ」


「はい」


「大変申し訳ないんだが、ちょっと愚かで矮小な生命体と楽しいおしゃべりをするお時間とかってございますか?要するに、質問しても良い感じです?」


「はい」


「じゃあ、大変恐縮でございますが……、このスキルって、どれが一番強いの?」


「理論上、どんなスキルもレベルを上げれば強くなりますよ。ありふれた『剣術(ソードスキル)』も、スキルレベルを上げ抜けば、時間や空間をも斬り裂けます」


「理論上は?……俺の聞き方が悪いのかこれ?えっと、実際はどうなってます?実情的な話で」


「定命の存在が、そこまでスキルを高められるほどに鍛えることなど、時間的にも体力的にも金銭的にも不可能ですので」


なるほどねえ、レベルとかあるんだ。


「大体分かりますが、一応訊ねます。レベルってのは?」


「本人のレベルと、所有しているスキルのレベルがあります。どちらも、上がるほど強くなります。本人のレベルは殺した命の質と数だけ、スキルのレベルはスキルを使った分だけ上がります」


んー……。


「な、る、ほ、ど、ね〜……。ありがとうございます大変参考になりました、女神様最高です信仰しちゃいそう!では、レベルの上げやすさとか、俺との相性だとか、最終的な強さだとか、便利さだとか……。とにかく、諸々全部加味して、俺に最適のスキルって何になりますか?」


聞いちゃえ。


分からんことは、恥ずかしがらずに人に聞くのが一番だ。


「これです」


っと、カードが飛んできた。


手に取ると、そこには……。


「『召喚(サモン)』か……」


ふーん、そんなのあるんだ。


「これはどう言うやつなんです?マニュアルを頂きたい。ああしかし、神ならざる人の身なので、家電の説明書くらいの情報量でお伝えしていただきたいです」


「その名の通り、任意のものを喚び出して召し使えるスキルです。レベルに応じてですが、貴方の欲しいもの、欲しい戦力を取り出せます」


ふーん。


「何でこれが俺に最適なんです?」


「貴方には、常軌を逸した精神力と集中力があります。そして召喚のスキルは、多大な精神力と集中力を使用する代わりに、強力な道具や従者を使役できます。貴方の精神力ならば、寝ている間も従者を召喚し続けることにより、最大効率でのレベル上げが可能です。その為、このスキルを今『創りました』」


んー?


「創った?俺用のスキルを?そんなことして良いんですか?後々怒られたりとかしませんかね」


「構いません。所詮この世界は、地球のような上層世界とは違ってかなり下位の世界ですから。最悪、壊れても問題ないので」


「ひっでえなオイ。ま、逆に言えば、調子こいても神様降臨!とかはない訳ですか?天罰ドーン!あいてはしぬ!とか、そういう後出しペナルティはないと言う認識でOKですかね?」


「はい」


「ふーん。差し出がましい感じのアレなんだけど、人にそんな強いスキルを渡して謀叛とかされたらどうしよー!みたいな危惧はしないもんなんです?」


「神の座を狙っても結構ですが、そんなに良いものではありませんよ……」


小さくため息を吐く女神サマ。


神様には神様の悩みがあるってことか。




「では、よろしいですね?」


「ああ、お願いします。それと、ありがとうございました。あっちじゃ楽しくやらせていただきます」


「では、播磨堂眞(はりまどうま)さん。貴方には、『召喚』スキルを付与して、異世界『アルス星』に転移させます。その際、年齢は18歳に変更し、転移する場所は『流れ者が住み着いてもおかしくない、人里近くの廃墟』とします」


「うーす」


「では、転移」


そういうことになった。

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