薔薇の一秒

一輪の薔薇が

首を垂れている


深紅に華やいでいた姿は

今や記憶の中

時は留まることなく過ぎてゆく


暗色を帯びてうなだれる

花首に手を添えると

花弁はなびらの重なりの奥から

カサカサと問いかけてくる


~まだきれいですか

~もう終わりですか


わたしは無言のまま

花冠かかんを少し持ち上げて

労をねぎらうように

微笑する


~一秒一秒咲きました


濃緑こみどりの三枚葉の托葉たくようには

小さな希望の淡緑あわみどり

咲き誇っていたエネルギーは

新たな芽吹きへと

移行しつつあるようだ


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818093072962969569

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