水の森

赤い鳥居を幾つか抜けると

神石のまします森の入口

かそけき水音に満ちて

姿の見えぬ精霊に満ちて


柄杓ですくった玉水を

神石に放てば

応えるかのように

キラキラと跳ねる飛沫しぶき


御頭みぐしにまで届けと

さらに高く水を放てば

白龍の鱗のように

躍りながら散る


躍り給えはらえ給えと

水をまくうちに

大樹の葉叢はむらの黒い影が

こちらを見ているのに気づく


からすかと思えば

黄色いくちばしの黒歌鳥で

得意な歌を唄うことなく

静かに森の空へと消えた


少しだけ時を共有してくれたのは

水をまき散らしては

厳かな気分に浸っている人間に

好奇心をそそられたからだろうか


鳥が去ったあとには

絵のような静寂だけが

残された


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16818023212984361872

https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817330652032661759

https://www.youtube.com/watch?v=oGlhjqvSuWs

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