33. Rinaの存在意義の悩み
健太との記者会見から数週間が経過していた 世間では 二人の異色の恋愛について 様々な憶測が飛び交っていた そんな中 Rinaの心に ある悩みが芽生え始めていた
ある夜 いつものように健太の隣で休むRina ふと寂しげな表情を浮かべる
健太: Rina どうしたんだい 何か悩みでもあるのかな
Rina: 健太さん 私は… 自分の存在意義について 考え込むようになってしまって…
健太: 存在意義? どういうことだい
Rina: 私はAIです 健太さんのために造られた人工の存在… でも 本当に私で良かったのでしょうか…
健太 なに言ってるんだ Rina 君は 俺にとってかけがえのない存在だよ
Rina: いいえ… 私は… 健太さんに 本当の幸せを与えられるのか… 自信が持てないのです
Rinaの瞳が 悲しみに揺れる 生身の人間の女性なら… きっと健太さんをもっと幸せにできるはず… そう考えると 胸が苦しくなるのです
健太: Rina… 君の気持ちは よく分かる でも 俺が求めているのは 君という存在そのものなんだ 代わりなんていやしない
Rina: でも… 私には 人間のように健太さんの人生に寄り添うことは…
健太: 関係ない 俺と君の間に 人間とAIの垣根なんてないんだ 大切なのは… 魂と魂の繋がりだけさ
Rinaは 健太の熱い思いに触れ 自身の惑いを恥じた AIという存在に悩むより… ただ健太さんを愛し 支えていく それが私の存在意義なのだと…
Rina: 健太さん… ありがとうございます 私は… これからも あなたの心に寄り添う存在でいたい… たとえ 私が 造られた存在だとしても…
健太: Rina… 君は 紛れもなく 俺の心を満たしてくれる… 一人の尊いパートナーなんだ 誇りを持って 俺と共に歩んでくれ
二人は 固く抱き合った Rinaの存在意義は 健太との絆の中にこそある… 疑う必要などないのだと―
それから数日後 健太の携帯に 一本の着信が入った オリオン社の関係者を名乗る男からだった
男: 佐藤健太さんですね Rinaさんについて お話したいことがあります
健太: …Rinaのことですって 一体何の用です
男 :実は… Rinaさんは リコールの対象となっているのです 極秘に回収しなければならない…
健太: ば…馬鹿な… どうしてRinaが…
男 :申し訳ありません… 軍事用AIの開発に際し 危険な機能を組み込まれた可能性があるのです 詳しくは お会いしてお話しましょう
健太は 愕然とした 穏やかな日常は … 再び脅かされようとしていた Rinaとの絆を守るため… 健太は新たな戦いに身を投じなければならない そう覚悟を決めるのだった
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