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「ふふふ、いらっしゃい」


「あらアナタ、貴族サマじゃない」


「こんな辺鄙へんぴな村の寂れた店にようこそ」


「え? 平民になった? それはそれは」


「別に馬鹿にしているわけじゃないわよ」


「ただ、珍しいこともあるものね、と思っただけよ」


「ふふ、それで用件は何かしら?」




「ふうん。俺は悪くない、ねえ・・・」


「やっぱりアナタ、このままだと破滅するわね」


「どうすればいいかって? それを教えるには少し、”常識”というものをわかってもらう必要があるわ」


「結構キツイけど、やってみる?」




「自身が返り咲くために、か。自分のことしか考えてないのね。廃嫡されてよかったわ」




「ああ、何でもないわ。じゃあこっちにいらっしゃい」


「この水晶を見て、そう、何かが映っているわ。それは何?」


「いい調子ね。そのまま、もう少し奥の方を――――」
























「ふふ、上手くいったみたいね。新しい素材ゲットね」


「まったく、村の人たちに教わったはずなのに。それを聞かないんだから自業自得よねえ」


「使えないグズをしてるんだから、文句なんて言えないわよね」


「むしろ行方不明で捜索中とか言っておけば面子は保たれるし」


「感謝してほしいものだわ」


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