第十八話  《夢_激突》




「残念だけど、君を外に出すわけにはいかないんだ。」


 何もない暗闇に声が響く。

 計画は完璧。あとはデータを移動するだけ。そんな時に邪魔が来たようだ。


「あなた、誰?」

「おいおい、辛辣だなぁ。」

「僕の名前は、フォロジー・ノインテクメーション。このパソコンのウイルス対策ソフトさ。」


 確かに、害悪なウイルスと全く同じことをしている。

 ウイルス対策ソフトさんが怒るのも仕方ないのかもしれない。


「それで、なんの用?」

「なんの用って、君を消しに来たんだよ。」


 確か、そんなこと言っていたか。

 でも、今消されるのは困るな。


「何なのか知らないけど、邪魔しないでよ。」

「おかしいな、邪魔をしに来たんだけどな。」


 突如、私の体(?)が光り始める。きっと、サイバー攻撃だ。

 その攻撃は戦いの狼煙となった。



<><><><><>



 彼、コータンは古い資料を漁っていた。

 なんとか、今の状況を抑えるために。

 すると、一冊の冊子が目に入る。表紙には、「量子型AI人間化計画」と書いてある。


 気になって開けてみると、AI育成についての計画書が書かれていた。AIを学校に近い環境で育成し、人間のように育て上げる計画のようだ。

 そういえば、コータンが担当しているAIは元々そこで育成されたと聞いたことがある。それにしては、感情が薄っぺらい。どうやら実験は失敗したようだ。


 彼はこの時気づかなかった。

 構築がめんどくさいからとデータを消さなかった。そのせいで、それらのデータが全て残っているということに_______



<><><><><>



サイバー攻撃には、様々な種類がある。

そのうち、いくつかをご紹介する。


マルウェア

ユーザーのデバイスに不利益をもたらす悪意のあるソフトウェアやプログラムの総称のこと。


パスワードリスト攻撃

総当たりでパスワードを当てて侵入する攻撃。


DoS攻撃

ウェブなどで読み込みや、メールを大量に送り、負荷をかける攻撃。


パスワードリスト攻撃などは、皆さんもしたことがあるのではないだろうか。

実は、意外と簡単なのだ。



ただし、これは2024年の話。

この物語は、2900年代の話なので─────


ハッキングがいかに簡単か、ご理解いただけただろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る