迷いの末彼女は異世界へ
そう、彼女は確かにそう言った。
次の幸乃の新企画、それは……
「天才アイドルは異世界に行って勇者になれるのか?」
であると──
奈美は額に汗を浮かべながらどう返答すればいいか悩んだ。
すると社長が幸乃をじっと見ながら言葉を発し始めた。
「ま、本来今日限りであなたは干されることになっているんだ、これがあなたに対する最後の助け舟なんだが……」
さらに奈美が幸乃の隣に立って説明し始める、今宝玉を握らせたのはあなたへの異世界での適性を確かめた物で、あなたは異世界への適性がある、だからこの企画をやってほしい、そしてモザイクは夜で幸乃のコーナーの視聴率がよければ必ずあなたを出世させるしかし断ったら度重なる遅刻で本当に干すと、これはあなたの社長の決定で私ではどうする事も出来ないと。
しかし同時にどんな所かわからないという怖いところもあった、勇者になるという事は命を奪われるようなこともあるんじゃないかという当然の心配も──
そして念を押すように問いかける。
「絶対、変なところじゃない? 治安は大丈夫?」
「ええ、内戦中とかじゃないし強い協力者も作るから大丈夫、あなたの安全は保障するわ」
また、幸乃がそんな企画テレビで放送していいのか聞いてみる、誰もが合成やイカサマをしているんじゃないかを疑うのではないか質問する。
すると奈美は異世界には魔法が存在しこの放送にも視聴者の認識を変える術式がかけられていてそういった疑問がわかないように、普通の番組として見るような認識をしているので幸乃が心配する必要は無いと説得する。
「魔法?」
幸乃がその疑問を聞くと奈美はさらにその世界には魔法が存在していると言い放つ。
幸乃の頭は軽くパニックを起こす、しかし何とか頭を整理し出した。
「つまり私が行くのは冒険と魔法のファンタジーワールドでそこを冒険する企画ってことね、本っ当に大丈夫?」
さらに念を押すように奈美に問いかける。
「大丈夫だって、だったら、はい」
そう言うと奈美は茶色の宝玉を取り出し幸乃に渡した。
そして本当に辞めたくなったらそれを強く握るといいわ、そうすると私にメッセージが届くからそしたらあなたをここに異世界から呼び出すからと宝玉を指差しながら説明した。
「何かあったらこれでここに返すから、危険な事なんて自ら選ばなければないわ」
奈美がそう言うと幸乃はそっぽを向きながら答えをゆっくりと、迷いを捨て切れていないような小さな口調で答えを返し始める。
「わかった、だったらやってみる……その代わり、本当に危なくなったらやめるからね……」
奈美と社長はたがいの目を見て今の言葉を確認する。
そして奈美が幸乃に書類を渡す、それはこの世界の物とは思えない模様をした紙でできていた。
そこには異世界へ行ったらやることや注意事項、あっちの世界の特徴などが記述されていた。
その書類をすべて読み終えると社長がポケットからアイマスクを取り出す。
そしてそれを付けてくれと頼み込む。
「……わかったわよ」
そう言ってアイマスクをつける。
次の瞬間、奈美が幸乃の両手に肩を置く。
「私が肩を強く握って5秒したらアイマスクをとっていいわよ」
そして奈美が方を強く握りりめる、すると何やら幸乃に聞こえない声で奈美がしゃべり始めるそして5秒後──
一瞬幸乃にふわっと宙に浮くような感覚が起こる。
※
そして言われたとおりアイマスクを取ると──
「おおおおおおおおおおおおおおおお、な、な、な、何これぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「おおお、おつちかないとととと……じゃなかった、落ち着かないと……」
さっきまで存在したはずの公園の風景は全く違う見たこともない風景になっていった。
幸乃はパニックになりそうな中、深呼吸をし、その後自分の頬を叩き何とか精神を落ち着けさせる。
落ち着いた後、その突然の出来事に途方に暮れる。
だがいつまでも途方に暮れるわけにはいかず、懸命に思考を張り巡らせ始める。
「んん……」
まずは自分の立っている位置を見てみる。
「これは、星?」
自分が立っている場所。
地面は大理石のような平らで誰かが整備した石のようになっていた
そしてまるで星を描くように5角形に柱が立っていた。
柱には文字が彫ってあったが幸乃はその文字を読むことは出来なかった。
幸乃はその中央に立っていて、地面にはまるで星の形をしたように柱を結んで線が引かれていた。
さらにその神殿は30メートルくらいの高さがあり、幸乃はそこの中央に立っていた。
(これは、神殿のようなものかしら?)
幸乃はこれは神殿のようなものだと予測した。
そしてその上に幸乃は立っていた。
そこの端っこに行ってみた。
「高っ!」
神殿は幸乃の目測では20メートルほどの高さで四角形に作られていた。
さらに周りの風景を見てみる。
(眺めはいいわね……)
東にはたまに人が通りかかっていて土で舗装されていた道が広い川沿いに出来ていた。
その遠くには広大な森が広がっていた、南には広大な森のほかに大きな街、西には森林、その先には地平線まで海、北には山頂に雪が積もっていて高い山がそびえていた。
それは幸乃が以前見た事のある富士山よりもはるかに高かった。
もっていたのはスマートフォンと財布くらい。
スマートフォンは当然電波は使えないが気温を図るアプリや電卓機能は使えるので、少しでも電池を電池の容量を持たせるため電源を切った。
その時突然両手が光り出す、そして─
「み~~~」
そんな泣き声をしながら手紙から手のひらサイズのハムスターのような可愛い動物のようなものが宙に浮いて現れ出した。
「な、何これ? ど、どなたさん?」
驚いて言葉を返す幸乃、その言葉に「み~~み~~」と叫ぶようにその動物は言葉を返す、そしてその動物は小型カメラのようなものを両手に出現させそのカメラを幸乃に向ける、すると──
「あなたのカメラマンのシェルリ、よろしくね」
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