魔王なのに神の加護を受けちまった!

Aze

第1話

神とは。対象物ではない。

神とは。この世のもの全て、ネットワーク自体を神と言うのだ。

森羅万象、全てが神であり、個ではない。


それなのに自分の事を「神」と名乗り、己の正義を振り翳し現象を支配する。


そんな奴らを我は屠ってきた。


本当の神の元へ送り、真の理に導いた。


我は迷いの果てに現れる絶対的存在。

魔王ロゴス


我は絶対であり、、、、、

ワ、、、、r、、、、

、、、、、




ふと気づくと、あたり一面真っ白で底には影が存在せず、意識だけがはっきりとしていてとても奇妙な空間だった。


「ん、、、?」


口も喉もないはずだが、発声することができる。声を出してみよう。


「ゴォォオォォォ!!!」


今まで、であれば空間に亀裂が入る程の咆哮。

だが真っ白な空間には何の変化も起こらなかった。


「うむ...」


魔王ロゴスが思い出せる記憶は、自分の名前と自分が「絶対的存在」であった事のみだった。


「余にできない事が存在するなど....」

「余は何故ここに...」

「余の宿命はまだ終わってなかったはず...」

「余....」


自分の事を思い出そうと必死になるが、重要な事は何も思い出せず、頭が痛くなる。


そうしているうちに突然、何重にも重なった機械音のような声が響き渡る。


「貴方は選ばれました。貴方を次の世界へアップロードします。加護を得る資格を確認。譲渡..。アップデート完了...」


無機質な声は続ける。


「ありえん...神など...神など会えるはずが...居るはずが....」


ロゴスは対峙している相手が自分が信じ、確信していた神だと悟った。

それと同時に、矛盾している事に驚きが隠せない。


「テンソウ。」


それが神の最後の声だった。



ビリッと電気が走る感覚が全身に走る。

「!!!!!!」

声を出そうにも出すことができない。

「!?!?」

そこは先程とは真逆で、真っ暗。

水の中にいるような感覚で、暖かく安心感に包まれていた。

何処か近くに別空間が感じられ、そこから謎の音が聞こえてくる気もする。

「音?」

明らかに自分を呼んでいる信号だった。

「我を呼ぶのは誰だ.....!」


ーーーーー

ーーー

ーー


「オギャーッオギャーッオギャーッー!!」


ーーーー

ーーー

ーー


そして現在に至る。

「わうわあわおうりょごぉお!かぁま!せぇうえめえよ!」

「訳:我は魔王ロゴス!神よ!説明せよ!」


魔王ロゴスは人間の赤ちゃんとして誕生したのであった。


パパ「おぉ?なんか言ってるなー」

ママ「まだ1歳よ?言葉を喋れるようになるまで1〜2年くらい掛かるわよ!」

パパ「いやわからん!俺の子だから天才なんだろう!今のうちに沢山話しかけて英才教育だ!」

ママ「ふふふ、天才ねっ」


ロゴス「おうおああああー!」

「訳:やめろぉおお!!」


パパはロゴスが対抗できない事を良いことにキスをしまくる。


パパ「ほーれ!ちゅーー!そんなに嬉しいのかぁー!?」


ロゴスは初めて理不尽を感じ、これがかつて民が地獄と恐れていた場所なのだろうと思った。



ロゴスにだけ聴こえる声が頭、心の中で鳴り響く。

それは機械音で喋る、あの神の声だった。


「ようこそ、この世界へ。神の加護を付与された貴方は様々な権限を持ち、実行することができます。記録開始。世界を確定させました。」


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