第6話 魔女彼女


 

 

 ヴァルガニカの展開と練習をしていると、練習場の扉が開いた。

そこにいたのはオキナワでもあおい指令でもなく……。

 

「聞くがいい! 我こそは最強の乙女と名高い特殊乙女からやってきた漆黒の魔女、コールサインはウィッチ! 世界を混沌に陥れるのはこの我であり、フェイスレスごときにこの世界は渡さぬ!」

 

真っ黒なドレスに眼帯を付けた女の子だった。

 

「ここに我の教えを乞うものがいると聞いたが、我はそんなに優しくはない! 教えて欲しくば……」

 

コイツが特殊乙女から派遣されてきた奴か……。

うちの乙女と違って自衛隊管理下の超戦闘特化の乙女だけど、数が少なくて全部は守りきれないから重要拠点を守るのに回されてるって噂の……成る程。

 

「はじめまして、ウィッチ」

 

「はぅ!? えっと、その、にゃ、にゃんでここに男の人が……」

 

男?

いや、私はどう見ても……。

あ、今ホストの展開中だった。

 

「あの、私はその……」

 

入ってきた時と私の姿を見た時の態度が違いすぎるだろコイツ。

 

「成る程。了解しました仮マスター、任せて下さい」

 

任せる?

まぁいいか、オートにしてみよ。

 

「おやおや、随分慌ててるみたいだけど俺に何か用があって来てくれたんじゃねぇの?」

 

……忘れてた、ヴァルガニカってオートにしたら勝手に私の声で話もするし戦ったりもするんだった。

えっと、オフはどうやるんだこれ。

 

「えと、えっと私は……任されてて……その……」

 

「声が小さくて聞こえねぇから」

 

体が勝手にウィッチの方に動く。


「あわわ……」

 

「ここならしっかり聞こえるよな、可愛い魔女さん」

 

腕が動いて、ウィッチの顎を触る。

……いやさ、別に嫌とかじゃないんだけど。

女にこんな事されて喜ぶとかありえないってか、意味ないってか。

 

「あの……や、優しくして下さい……初めてなので……」

 

喜んでんなぁ……。

 

"掴みは完璧です、仮マスターに代わります。"

 

ヴァルガニカがオートをオフにすると、体が自由に動くようになった。

 

潤んだ瞳が何かを期待しているようで、少し怯えている。

顔に触れた私の手には少し震えが伝わってくる。

この子……可愛いな。

服もゆいとが好きそうで、最初のキャラと今のキャラのギャップも男ウケ良さそう。

ゆいとはこんな女が……。

 

「あの……シないんですか……?」

 

「私は女だ、何を期待してんのか分かりたくないけど、期待には添えないって事は言っとく」

 

「……女性、同性ですか!? え、え、えーッ!?」

 

ヴァルガニカのせいで胸も目立たないから体つきは男かもしれないけどさ、長い髪と顔で分かりそうなもんなんだけど。

 

「ちなみに、マスターは胸の大きい女性が好みでした。明らかに体は女性なのに男らしくて格好いい人、つまり仮マスターの事ですが、どストライクだったと聞きました」

 

……変態め。

 

「その声……ヴァルガニカではないか! ひなが自信満々に最高の作品だと言っていたが。まだ壊れてなかったとはな、無事で何よりだ」

 

「お久しぶりです、ウィッチ様。そして決して無事ではありません。私はマスターを失いました、美装として最も大切なマスターを守るという義務を守れなかったのです。」

 

「まて、そこの……か、格好いい人がマスターではないのか?」

 

「この方はスーパースター様です。紹介が遅れましたが、仮マスターです」

 

「……詳しく聞こうか」

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