禁忌呪術フウェードーダフ――Mother Con Quest

犬單于 𐰃𐱃 𐰖𐰉𐰍𐰆

〇〇しないと出られない部屋でしま章

第1話 ねっとり甘いエルフの匂い

 未だS和と呼ばれていた時代、RPGがやって来ました。未だイニシャルTもついてません。何と言っても、RPGの魅力は自由に自分の役割を演じることです。SLG、いわゆるウォーゲームと違って勝ち負けがありません。


 RPGにも色々あるけど、『D&T(Dugeons & Treasures )』こそ、代表作中の代表作でしょう。日本語版が登場すると、徐々にファンの間に浸透しました。

 『D&T』のキャラクタークラスは、ファイター、クレリック、ウィザード、シーフ、エルフ、ドワーフ、ハーフリングの七種類です。特に大人気なのはエルフです。見た目も好いうえ、長寿で、魔法も武器も使えます。好いとこどりで恵まれすぎてます。


 とある少年は、進学なんてうわの空、RPGの沼に嵌っています。こう考えています。「自分を鏡で気見たら、エルフやるのは恥ずかしい。でも、まるでエルフようなプレイヤーとRPGやってみたい」っとさ。うつつの中にエルフの幻影を追い求めています。


 ある日、少年は下校中、本屋に立ち寄りましす。

――『S&Mマガジン』創刊号っ!!

 正確には「Sword&Magic Magazine」です。日本初の本格的RPG専門誌です。駅前の本屋が扱うとは、思いもしませんでした。 創刊号の表紙を飾るイラストはエルフでした。

 絵の中のエルフに恋をしたのか?

 甘い匂いが、ねっとりと鼻腔を擽ります。そして鈴の音が響きます。

「その絵うまいけど変よね。それじゃロバの耳ね。エルフの耳はこうよ!」


――近っ♡♡♡

 横を向くとエルフの顔、肩越しに『S&Mマガジン』の除き込んでいます。吐息や鼓動を感じます。肩には白魚の指が触れ、背中から柔らかい温もりが伝わります。

 赤茶けた長い髪は湿り気を帯びてうねっています。その合い間から露になる耳は尖がっています。少年の知る耳長エルフとは違い、悪魔やサキュバス、バンパイア、ゴブリンに似ています。

 でも、透き通るような白い肌、端筋の通った顔立ち、長い睫毛、琥珀色の瞳、桃色の唇、どれをとってもエルフか、女神か、妖精にしか見えません。

 絹のような首筋に小さな痣を見つけます。それでも、清らかな美しさは曇りません。


「ぁ……のぉ、そぉの……♡」

「坊や、緊張してるの?」

「ぁ……のぉ、そぉの……エルフの耳ってウサギみたいに、なぁ・なぁがくないんですか?」

「そういう年頃だもんね。お姉さんにバニーガールの格好してほしいのね?」


 長い脚に網タイツはいたバニーガール姿が脳裏に浮かぶやいなや、脳天に青天の霹靂、電撃は悩殺にとどまらず、骨髄を走って「愛の震天雷」に伝わります。少年は眼が眩みそう。こらえきれずに炸裂してしまいます。涙目で思いました。穴があったら入りたい。

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