第12話勇気を振り絞れ
一週間後,亜実の連絡先が送られてきた.詳しいことは私からは言ってないよとクラスメイトは配慮してくれた.私は彼女に送るメッセージ内容を考えていた.
「いきなり連絡してごめんなさい.もう私と話したくないかもしれないけど,どうしても伝えたくて」
ここまで打ってみて消去した.怖い.もう私のことなんて忘れてしまって,思い出したくないかもしれない.私のせいで彼女の高校生活は後味悪く終わってしまったのだ.私たちは大学三年生になる.亜実にも恋人がいるかもしれない.そんなことを考え出してしまうと,メッセージを打つ手が止まる.今更,連絡なんかして迷惑なんじゃないか.結局連絡先を得てから初めての言葉を送るのに二日かかった.
連絡してから一週間経った.連絡は帰ってこない.期待するのはよくないと思いつつ,気になってスマホを手放せないでいる.通知がくるたびに確認してしまう.まるで中学生みたいだと情けなくなった.連絡先を教えてくれたということは,連絡していいということだよなと自問自答を繰り返した.でも返信は返ってこない.
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