第2話キルアが好きな私とクロロが好きな彼女

 彼女が「HUNTER×HUNTER」の漫画を貸してくれたことがあった.私は小学生の頃にアニメで見ていたくらいだったけど,読んでみると,ハマってしまい,覚えたセリフを言いあったりした.私はキルアが好きで彼女はクロロが好きだった.彼女の好きなものも好きになった.

 私たちはいろんな話をしていたけど,彼氏関連の話はしたことがなかった.振られてから勉強が手に着かなくなって,受験に失敗しつつ,大学生になった.私は工学部に進んだ.理系だったのでものづくりに興味があったのと,工学部には女子が少なく,女子内でのゴタゴタが起きないだろうという期待をしての選択だった.

 同級生は化粧に目覚めたての今時の女子が多く,オリエンテーションで知り合ったその日に女子は少ないから団結して頑張ろうねということで,皆で昼食を食べに行った.出身地や趣味の話を一通りしたあと,話題は自然と恋愛話になった.

「今まで付き合った人数は?」

『三人だよー』

「彼氏いまいる?どこまでした?」

『えー最後...まで?』

「きゃーまじで!」

初対面でここまで会話が盛り上がるのだからコイバナの力ってすごい.

私は高校生の頃から恋愛にあまり興味がなく,付き合った経験がないので相槌を打ちつつ,好きなタイプを訊かれて答えるくらいで参加した.私の他にも交際経験がない子が二人いたのでそんなに焦ることではないかと思って安心した.この時驚いたのが,入学式で新入生代表の挨拶をしていた,おとなしそうな彩音は経験があるということだった.

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