16歳で天才声優というレッテルを貼られている件について
@Rilychan
第1話 可愛すぎるので顔は出せません!!
この物語は16歳にして天才声優と世間を騒がせた一人の少女の物語━━━━━━━━━
この少女の最も褒められるべき術はは、いわゆる洋画に声を当てる、吹き替えのみでこの地位にいることである。
今まで、吹き替のみで名を轟かせた人物は、この声優界では最も珍しく、それこそが彼女の天才たる所以なのである。
アニメ声優はこのご時世、テレビでの活躍や、アニメイベントその他でもメディアに露出する場所はある。
だが、この少女、三崎莉亜(みさきりあ)はメディアにその姿を表したこともなく、事務所のHPにでさえ、顔を露にしていないのだ。
そして以下のアフレコは彼女が高校から帰って直行で現場へと向かった1日である。
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キートン 「そうだねアルファ、だから私は殺人鬼になるしかなかった。…許してくれよ」
―胸元に隠していた拳銃をアルファに向ける
アルファ 「おい、まさかお前が…… キートンっ…!!!!」
―弾丸がアルファの心臓を貫く
アルファ 「ッ………ユ………ユリ……ウ…ス…」
音響監督「はい、おーけー、ありがとうございました〜。
今日はここまでなんで、みなさんお疲れさまでしたー。」
「はぃ、ありざーしたー。」「ありがとうございましたー。」
その場にいた声優達が台本を閉じる
マイクから離れ、席に着いた。
「りあ、今日学校は。テストがどうとか言っていただろ。」
「あぁ〜やだぁ!笑忘れようとしてたのにぃ!
物理だけ80点代でした…。」
この人は様々な吹き替えをもう30年担当している吉野史也さん。いわゆる大御所。世間から見ればあまり知られていない…と思う。なぜなら吹き替え声優だから。
だが、私はこの人の吹き替えを見て育ったと言っても過言ではない。
「おつかれさん。仕事も勉強も両立しているんだな。じゃあ、また来週な…。 」
吉野さんは寡黙な人だ。滅多に自分から話しかけることなんてしない。いわゆる、私は気に入られているんだと思う。
吹き替え声優は玄人が多い。新人も多いが、それっきり。演技が物を言う。
周りが40代以上の方しかいなかった現場なんてザラにある。
吉野さんが去ったあと、みんなが帰る用意をする。
それが礼儀だ。
ふぅー。LINE見よっと!
・りあー!今補習終わってこの後カラオケ行かん?
・みさきすぐ帰ったけど、先生から聞いたらテストの順位3位だったよー!あんたすごいねー!
・りあぁぁ〜彼氏と喧嘩してさぁ〜マジムカつくんだけと話聞いてくんない?
とまぁ私なりに、楽し……楽しい高校生活をおくってるとは思う。
よしっ!!とりま、カラオケ行こっと!
で、その後明日の16時からの「ルーム8」の台本復習して…
「りありあ久しぶりだねー!さっき話す時間なかったから…」
「あ、」
岡山信也さんだ。もちろん大人気声優。アニメに出ずっぱりで、今期三役も主役やってる。
アフレコ現場で会う人は御無礼がないように誰であろうととことん調べる。この人は調べるまでもない程有名声優だけど、
「岡山さん!半年くらい前にご一緒しましたよねー!
またお会いできて嬉しいです!」
ほんとは3ヶ月と16日前
「また会えて嬉しいよ!ほんとに演技してる時と地声全く違うよねー!ビックリする笑
噂には聞いてたけど毎回びっくりするよ!」
「みんなそう言いますよね笑」
「りありあの演技のリアルさには毎回びっくりするよー!みんなりありあの演技がどこから湧いてくるのか気になってるんじゃないかな〜!もちろん俺も!」
「ありがとうございます!嬉しい〜!」
岡山さんは照れていた。
あ、やばい…実は私が思ってるより顔がいい…
…………………………
ッ………だから嫌なんだよ!!表に立つのは!!!私の演技を見て欲しいんだよ!!!!
私が表に出るとみんな可愛い可愛いって言って、私の顔がチラつくのが怖いから表に立ってやらないんだよ!!!!
思い浮かべて欲しくないんだよ!!!
私は演技を見てほしいんだよ!!!
アイドル声優??!!はぁ???!!
なんのために存在してんだよ!!
こっちは私生活削ってリアルを求めてるんだよ!!!
寝る時も春夏秋冬、誰といるかに合わせてボイスレコーダーで撮ってるんだよ!!!
冬は寒いから呼吸は深くなるかもしれない、夏は暑いから沢山酸素を吐いているのかもしれない、親と寝る時は安心してからか呼吸が深くなる、寝言も言う!!!!好きな人と寝る時は意識しているから呼吸が浅くなる!!
そんなん考えればわかる!!!けど!!!!本当かどうかは全てやってみないと分からないだろ!!!
リアル…外画はリアルだ!!!
アニメじゃない!!
いかにリアルを求めるか、それなんだよ!!!寝る時でさえ、演技に生かそうと思ってんだよ!!!!!
それが普通だろ!?!?役者だろ!?!!ふざけんな!!!!…………
おっといけない
「私、マネージャーさんに呼ばれてて…
また話しましょ〜!」
「うん!お疲れ様〜!」
「お疲れさまでしたー!」
それから1人ずつに挨拶してアフレコブースを出た。
そして、事件は起こった。
「三崎さん、声優アワードにノミネートされました。」
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