第22話 狩りの時間!え?生存がバレた!?
あれからかなり時間が経った。具体的にどれ位かと問われると答えに窮するけど、感覚として、俺の死まであと3年と少しだと分かるから、今は14歳ぐらいだと思う。
あの失望を伴った激しい怒りの記憶はちっとも薄れてなんかいないけど、当事者はもうこの世に居ないし、どうやら俺の魔力は見るもの全てに絶対的な悪感情と嫌悪感を催させるものらしい。まぁ、どうやら魔力を出さなければいい事らしいが、彼方さんもそれはわかっているらしく、検問所や巡回兵を増やして見かけた者全てに魔力の提示をさせている。
俺もそれでバレて3回程戦闘になったからしっかり効果はあるらしい。
それで懲りて、俺は今は森の奥で隠れながら魔物を狩っている。どうやらこの世界にはしっかりと「レベルアップ」があるらしい。その割にはステータスがないが、どうせ
お陰で今じゃあ「呪いの子死亡説」なんかも出て、適当な子供を攫ってから殺して「呪いの子は俺がぶっ殺した」なぁんて名乗りをあげて、報酬金を手に入れようとするマヌケが後を絶たないらしい。
で、肝心の魔物の倒し方なんだが……
「Iraaaaaaaaaaaa 」
お、来た来た
あれはぁ………猪型か!美味いんだよなぁ……猪肉!ファンタジーあるあるなんだが、魔物ってなんか美味いし!
え?人喰ってたかもしれない奴を食うのかって?まあほんとに喰ってるか分からんし、シュレディンガーの胃袋って事で!……イブクロ カイタイ ダメゼッタイ
お、突進か、猪型なんだからそりゃあそうだろうな
にしても流石魔物、初速でも車のスピードなんか裕に超えるぞ
こりゃあ身体強化してなかったら目にも追えなかったぞ
まあ直線的な動きしかできない時点で俺との相性は最悪なんだが……
こうやって木の葉に魔法をかけるだけで……
「
「Iraaaaaaan!!」
ほれ、あっという間にズタボロに
まあ動かない物にそのままぶつかればその衝撃を余す事なく自分が喰らう訳だし、中には縦向きに固定された物もあるから、スパッと逝っちゃったとこもあるねぇ
まあなんにせよ食糧確保!
衝動的に決めちゃった魔法だけど、なんだかんだで便利で強いから気に入っている。
まともに食えるビジュアルの魔物は少ないし、これは取っておかないとな。
「
ちなみにコンスタントは状態の固定をする魔法だ。
つまりは腐敗とかそういうものをなくしてくれる。その上でフィックスの効果、つまりは居場所の変化も固定してくれる。
あんまりにも強力だから生物にはかけられない(魔法において死体は生物認定されない)し持続時間は短いという欠陥魔法だが、それを解決するのがこのフィックスだ。
こいつの対象を魔法効果に変えると、その効果が固定され永続する。これに気づいた時には小躍りして喜んだものだ。
あ、火どうしようかな
こんなでかい肉焼けそうにないぞ……
どうしよ。いやほんとに………
*
人間の国:貴族議会
呪いの子の存在と脅威を国の、敷いては世界の中枢と言えるものたちに刻み込んだと後に歴史書に刻まれる「呪獣議会」はどこか、いつもの議会と違った様な雰囲気の中始まったという。
それは幾人かの大臣の顔が青ざめていたからなのだろうか。いつもは仰々しく、そして長ったらしく開会の言葉を唱える議長が声を震わせて開会の宣言をするに留めたからなのだろうか。それともいつもは出席していない王が宰相の側に佇んでいたからなのだろうか。
いずれにせよ異常な空気の中始まった議会の内容は、やはりと言うべきか終始異常だった。
まず開口一番議長が放った言葉が問題だった
「今回の議題は1つ、そして周知事項2つのみだ」
当然貴族から不満の声が漏れる。1等以内の親族もしくは本人のみが資格を有する議会。それも強制参加だ。議題や周知事項は20、30でも足りぬ位なのに、それが合わせてもたったの3つとなれば不満の声も上がるものだ。
だが何より問題なのはその内容だった。
「先日、
「どう言う事だ……あれは
「希望の子がやってくれたのか?」
「いや、彼はまだそこに至ってはいないはずだ……」
「さらに、消失と同タイミングで膨大な量の呪力を検知。更に文字盤の7時の位置に呪いの子の名が出現。これにより呪いの子死亡説は完全に否定され、我々は世界7位の実力を持つ知能のある
「そんな……」
「以上が周知事項だ。これからが議題だが……予想通り、対呪いの子作戦の立案だ」
これには幾ら楽観的だった貴族らも本気で危機感を抱いたらしい。一気に騒めきが広がった。
「街の中に入られたらおしまいだ、魔力の検査の実施は?」
「もうやってる!実際それで今代を見つけた実績もある!」
「何故逃した!クソッ!これは責任問題だぞ!」
「ならば祝福の子をぶつけるのは?」
「まだそこまで育っていない!最近漸くスライムの幼体を倒せる様になっただけだぞ!それをぶつけて勝てるわけが無い!」
「今考えるべきは呪いの子を倒す方法では無い!祝福の子が育成プランを経て育ちきるまでの2年間、この間祝福の子を守りながら耐え忍ぶ方法だ!」
「そんな事を言ったとて、その方法が分からん!」
「祝福の子に付けている騎士団を増やすのは?」
「
「じゃあどうしろというんだ?」
「クソッ……手詰まりか?」
「有事に備えて強力な護衛を付けておくのは?」
「一人だけならそこまで
「何処に
「そんな者がいればもうとっくのとうに討伐隊を差し向けているぞ」
「いや……勝てなくとも、呪いの子相手に粘れるのなら、護衛として十分なのでは無いか?未だ成長途中といえども祝福の子だ。我々とは比べものにならん能力を持っている。恐らくだが、2分も稼げれば現段階でも避難に問題はqないはずだ」
「ならば
「良いのか?彼奴は国防の要でしょう?」
「今の時代、国家間の争いは無意味です。現在、敵対もしくは同盟関係にない国には和睦、同盟可決の使者を送っていますし、他国からの使者も来ています。国防はもはや必要ありません。全戦力を以て呪いの子を叩くのです」
「では『
「それでは議会を閉幕する」
こうしてこの「呪獣会議」を始めとする様々な会議から、史上4度目の呪いの子討伐戦が開始したのだ。
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