第7話 町に入ろう!え?『呪いの子』⁉

 私は大変なことに気付いてしまった……

 そう、一人称が乱れるほど重大な過失。それこそが

「捨て台詞だけはいて逃走って小物過ぎない⁉」である。

 こんな悪役格好良くない!


 まてよ、天使のことノリで批判してみたけど、俺この世界のこと何にも知らねぇぞ⁉

 これはまずい!勝手に勘違いしてイキってる奴なんて魅力的でもなんでもねぇ!

 てかこの魔力のことも知っておかないとボロが出ちゃう!もしかしたらRPのヒント隠れてるかもだし……

 いや、考えないでおこう。杞憂かもしれないし、もうどうにもならない事だしな。今は勢いで逃げ出してきたから、どこに行くべきか考えないといけない…


 そうだ!街に行こう!

 もしかしたら魔力について何か手掛かりが見つかるかもだし、何か闇落ち理由になりそうな出来事あるかもだし!


 天使が来た方向に行こうかな。教会とかありそうだし

 天使って情報の宝庫だなぁ

 スケアクロウ…だっけ。あいつ殺さなきゃよかったなぁ…ま、わざとじゃないんだし、切り替えていこー!


 ……


 お、壁見えてきたな

 やっぱり町から来てたか

 おーい、門番さーん!中に入れてー!


「……その禍々しい魔力!お前が天使様が仰っていた『呪いの子』だな!」


「呪いの子」?

 あぁ、俺のことか。そうか魔力消してなかったからかぁ…てかビビって逃げ出したから情報漏れてた!まだまだダメな悪役だな……

 ッく……悪役道は果てしないな……


 しかしまた、「呪いの子」とはまた仰々しいなぁ……。

 …ッハ!まさか……俺はラスボス枠だったのか!

 いや、まだ分からないぞ……もっと凄いのがいるかもしれないしな

「呪いの化身」とか

 謙虚に行こう、「弱そうな態度のくせに強い」は格好良いがその逆はだめだ。


 この返答次第で俺の悪役RPの方向性が決まる!

 どもってると思われてはいけないから素早く、だが慎重に決定するんだ…!


「人間……ですよね!よかったぁ……奴隷にされたんです。そしたら天使が襲ってきて……!」


「入れてください!あ!村はどうなったんですか?」


 これでどうだ!

 迫真の「未だに人を信じる子供」RP!


「五月蠅い!奴隷は違法!誇り高き我が国にそのような犯罪を起こすものなどおらぬわ!」


「そしてその溢れ出る呪力!貴様の性根が滲み出ているぞ!騙そうったってそうはいかん!」


「我が最大土力どりょくで葬ってやる!」


 呪力に……努力?


「チャーリーから土の精霊へ!《集めろ固めろ投げつけろストーン・キャノンボール》!その働きに、我は土力483で報いよう!」


 うわっ!デカい岩が飛んできた!


 ここは天使戦で学んだ技術の出番!魔力を手にこめてぇ!

 ふんぬぅ!

 粉ッ砕!

 痛ったぁ!…いやポーカーフェイスポーカーフェイス……これがそんなすごい攻撃じゃなかったらダサいからな。

 余裕だって感じで!


 てか努力?

 いや違う、土属性の魔法…土力か!

 じゃあ呪力は闇か呪い……闇かな。

 こういうのは得てして仰々しい呼ばれを方するものだし


「なんだ……それはァァァァァ‼︎お、悍ましい悍ましい悍ましい悍ましいィィィィ!」


 あ、発狂したな

 そんなにぃ?傷つくなぁ


 あ、人がいっぱい来た

 この数相手はなぁ……平和的に……

 あ、武器構え始めたな

 無理っぽそぉ


 逃げよッと!

 なんか最近逃げてばっかだな


 闇落ちっぽいセリフを残して……


「貴方達も……人間も!俺を守ってくれないのか⁉困ったら大人に頼っていいんじゃないのか⁉」


「…………じゃあ、だれが僕を守ってくれるの?」


 ここぞという時の一人称の切り替え!くぅ!やっぱ俺、できる男!

 あれ?これも捨て台詞か?いやいやいや、違うよね?ダサくないよね⁉︎

 …………また失敗したー!!

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